来音と千音~たましいの物語9~

深い眠りに落ちた千音は、何日も眠り続けました。

千音を心配した月の精霊は、来音の下に訪れました。

月の精霊が現れるころ、来音は権力と財力を手に入れても「幸福」を感じられずに、憂さ晴らしのためにお酒を浴びる程飲み、その場で気を失うように眠っていました。

その姿を見て月の精霊は、深いため息をつきました。

来音のおでこに慈愛の光を残し、月に帰って行きました。来音は、夢を見ました。千音が月の中で、来音と紅の結婚式を悲しんでいる姿が見えました。千音から流れ落ちる涙は「誰も責める事は出来ない、物悲しい美しい涙」に感じました。その宝石の様な美しい涙を見て、来音は感情のダムが崩壊し、叫ぶように泣きました。もう誰に見られても構わないくらい全ての感情を出し切りました。

フッと夢から覚めて、コップの残り酒に映った自分を見て思いました。

「これは誰だろう?」

「本当の自分なんだろか?」

来音は、騎士団の宿舎に自ら歩いていきました。

驚いた騎士団たちは、何事かとざわつきました。来音は、総長を呼びだし指示を出しました。

「千音を探せ」

騎士団の総長は、以前この名前を聞いたことがあります。来音が酔いつぶれた時に寝言で、愛しそうに呟いていた名前でした。この総長は、とても人想いの優しい気質で、多くの者が頼りにしていました。愛情豊かな事もあり、王の言わんとする心情を察して、信頼できる騎士と共に「千音探し」に繰り出しました。

来音は、月の精霊が優しく微笑んだように感じ、初めて自分を少し取り戻したような気がしました。

千音の下に、シャルル達が訪れました。

生気の無い千音は、ただひたすら眠っていました。そんな時、馬の息遣いと共に、懐かしい匂いがしました。シャルルは扉に迎え歩み、訪問者を千音の下へ案内しました。

ようやく、千音がシャルルの鳴き声で、深い眠りから感覚が現実へと戻ってきました。

(一体どれくらい眠っていたのかしら?)

意識がもうろうとしている中、シャルルの後ろに立っている来音を見ました。

来音は何か千音に向かって、話しているのですが、千音は、聞き取ることができませんでした。

(来音・・。聞こえない・・。聞こえない・・。)

次は、鳥のさえずりで、はっきりと目が覚めました。

ハッとしてあたりを見回してみましたが、そこに来音の姿はありませんでした。

その変わりに、目の前に広がる光景を見て、千音は驚きを隠せませんでした。

その、光景を目の当たりにして、来音の優しさの中に存在する自分を、ひとつひとつ大事に感じ取っていました。

続く

⇒さて、その光景とは何でしょうか?

来音と千音~たましいの物語8~

満月の夜に結婚式を迎えた来音と紅。

紅は指輪交換の時に、「この指輪の秘密」について思い出していました。

この結婚指輪は、実は紅のかつての婚約者との為に作られたものでした。

紅の元婚約者は、貿易の仕事の為に、乗り込んだ船が難破し帰らぬ人となってしまったのです。政略結婚ではあったものの、相手は紅が幼い頃から憧れていた人でやっとの思いで、結婚まで到達出来た想いが強く残り悲しみはいつしか恨みと怒りへと変わりました。

紅は幼い頃から、自分の欲しいものは全て手に入れ、誰に怒られる事もなく、また気に食わない者には苦痛を与える事で自分を保ってきました。

この出来事は、更に紅をダークな世界へと堕としていきました。

「私がこんなに不幸なんだから世の人々はもっと不幸になればいい。そうすれば、みじめな思いなどしなくていいわ。」

ある日、城の使いの者があまりの苦痛に耐えきれずに、紅から逃げ出しました。

そして、逃げ出す人の数は日毎増していきました。

紅は逃げ出す者たちのルートを探り、さらに苦痛を与えてやろうと森に入っていきました。

森を歩いているといつの間にか朝を迎え、朝日の美しい光の中に、ひとりの女性の姿が見えました。

その女性の周りにはたくさんの猫や犬たちが、くつろいで戯れていました。

そして、女性はひとりの男性との愛に包まれた話を動物たちに幸せそうに話をしていました。

その女性の表情はこの上ない幸せで満ち溢れていました。

女性を見れば見る程、話を聞けば聞くほど紅は「許せない」気持ちで憎悪が抑えきれませんでした。私が掴むハズだった幸せをこの女が味わっているなんて許せない。

「私と同じみじめな想いをさせてあげる。その幸せは私のものよ!」

紅はいかにして、この女性に苦痛を与えるか緻密に計画を立て始めました。

紅はこの瞬間がとても充実しています。

「あの幸せそうな顔を必ず不幸のどん底に墜とし込めてやるわ。」

女性の後をこっそり追い、日常を観察した上で、どの方法が一番苦痛を、与える事ができるか紅は考えることにしました。

そして生気のない不幸な表情を思い浮かべるだけで、紅は笑いが止まりませんでした。

そんなある日、鼻歌を歌いながらあの女性が、薬草カゴを持って森に入って行くのが見えました。

「今だわ」

紅は女性にそっと近づきこう伝えました。

「道に迷ってしまったの。記憶も無くしてしまったみたい・・・。きっと誰かが風邪を引いてしまったからこの森の薬草を摘みに来たはずなんだけど・・。」

その女性は、紅が想像していたよりも遥かに、親切に寄り添ってくれましたが、紅には疎ましくて仕方がありませんでした。また親切にした分、裏切られた悲しみは深くなるだろうと想定し紅は、言葉巧みに弱い自分を演じ続け、その女性に擦り寄りました。

そして、隙をみて背後から頭を思い切り拾った太い木で、殴り付けました。

そこへ以前、紅の城から逃げ出した使いの者に「見逃してやるから、この女を城の監禁部屋に入れろ。」と指示を出したのです。

そうです。こうして紅は巧みに千音を監禁部屋に追いやったのでした。

そして、次は、千音の最愛である来音に隙入る為に、千音を失った来音の心が一番弱まる時を粘質的に待ち望んでいました。

月明かりの下で来音を見つけた時、紅は「神は自分の味方である」と強く思いました。

紅は全ての憎しみは「千音」が肩代わりするべきで千音の「幸せ」は全て自分が受けるべきだと神に祈りを捧げました。

そして、紅は悪神に魂を売りました。

紅は力が沸き上がり「これが幸せへの最善の方法」と悪神に全てを委ねました。

紅と来音は結婚式を終え、来客のお見送りをするところでした。

そこへ、命からがら監禁部屋から脱出し、来音が千音の為に作った婚約指輪を馬の首にぶら下がっているのを発見して、来音の愛を信じて馬に乗り込んだ千音が到着しました。

そして、結婚式のお見送りをしている仲睦まじい二人の姿を千音は見る事となってしまいました。

「どうして・・。こんなことに・・。」

「来音の心にもう私はいない。」

隣の女性はあの時の『記憶を失った女性』

この後『頭に鈍痛が走り、気を失い監禁された記憶』

全てが闇の中を蠢く浅ましい戦略である様な、感覚が消えませんでした。

昔「月の精霊」の本で蛇民の事を知り、また違う書物で蛇民が何をしてきたかの歴史の本を千音は読んでいたことがあります。

「まるで・・。蛇民のやりかた・・。」

また、蛇民に心を売るものはもう戻らないと村人は信じていました。

千音は、悲しみなのか、怒りなのか、恐れなのか何が何だか分からない感情が溢れだしその場から、逃げる様に馬に乗り込み立ち去りました。

千音はこのまま消えてしまいたいと、崖の上に馬を走らせました。

どのくらい、どの道を走ったでしょうか?

崖の一寸先にひとつの城が見えてきました。

馬は迷わずこの城に向かいました。

人気の全くない城の扉の前に到着した時、千音は何も考えれないくらい衰弱していました。

何とか扉を空け、千音はそのまま深い眠りに落ちていきました。

『月夜の美しい時、二つの扉が開く 

ひとつは、蛇(じゃ)の世界へ続く 邪民の村

もうひとつは、精霊の世界へ続く 聖民の村

人は、蛇でもなければ精霊でもない

人の心が決める それが 運命の分かれ道 :月の精霊の本』

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さて、次回は・・・・。一体どうなるのでしょうか!?一緒に想像してみてください。「来音と千音~たましいの物語~」好評頂きありがとうございます。引き続きお楽しみ下さい。

来音と千音~たましいの物語~6

月夜に美しい旋律が聴こえたならば

精霊たちの歌声に耳澄ませ

清き耳であれば、共に奏でることができよう

静寂の祈りの中、神を想うか我を想うか

月の慈しむ愛が、今宵も美しき旋律を奏でる

千音は、夢をみていました。猫のシャルルたちと陽だまりの中、千音は「うさぎとかめ」の話をした事を、夢の中で思い出していました。

うさぎは、かめのあしのおそさを、ばかにしました。うさぎとかめは「かけっこ」をしてどちらが、はやくゴールできるか、ためしてみることにしました。
うさぎは、あまりにおそいかめと、かけっこするのが、ばからしくなり、かけっこのとちゅうで、ねむってしまいました。そのすきに、かめはうさぎよりも、さきにゴールをすることができたのです。

千音はシャルル達に、不得意な事を指さし笑う「うさぎ」と、自分の不得意さを恥じる事無く、懸命に挑む「かめ」の共通点は「自信」なんだと話しました。うさぎは「自信過剰」で、かめは、予測できる結果がどうであれ「自分を信じる事」を諦めなかったから、神様がご褒美をくれたんだと、千音はシャルル達に声を弾ませ言い聞かせていました。シャルル達は「自分を信じる」大切さに、キラキラした様子で千音の話をジッと聞いていました。

フッと夢から覚めて、千音は思いました。

「今の私は自分を信じれているかしら?」

月明かりが差す、小さな窓をみると「満月」でした。

そう、今夜は「脱出決行日」だったのです。

月の精霊が「千音?心の準備はいい?」

千音は、自分に言い聞かせるように、静かに頷きました。

小さな窓のひとつに、月の色をした美しい小さな光がキラキラと集まっていました。

千音は、導かれるように、その小さな窓の方に向かいました。

よく、窓枠を見てみると枠が風化により朽ちているのが、分かりました。

「何とかなるかも、しれない。」

千音は、この窓枠を壊せる硬いものはないかと、辺りを見回しました。

その時

外が騒がしくなりました。

ニャーニャーニャー

猫の鳴き声が、何重にもなって聞こえてきました。

外を見ようと、窓に近づきました。なんと窓の外側にシャルルが居ました。

千音は、驚きとシャルルに会えた喜びで、一気に勇気が湧きました。

シャルルが千音に、愛情深く微笑んでいる様に見えました。シャルルは爪で朽ちた窓枠をひっかき始めました。

その音を聞き、外窓の縁に乗れる分だけの、猫が集まって皆で窓枠をひっかき始めました。

千音は、この行動を見てシャルル達みんなが、自分を助けにきてくれたのだと理解し、嬉しくて仕方がなくて、笑顔と涙でぐちゃぐちゃになっていました。そしてポケットのハンカチを出そうとしたとき、家の鍵が落ちました。

「そうだ!鍵で朽ちたところを壊してみよう。」

こうして、千音とシャルル達は必死で、窓枠を壊し始めました。

さて、こちらは来音の時間軸です。

「満月の夜」には、ふたつの物語があります。

一つ目は、「千音の脱出」

二つ目は、「来音と紅の結婚式」です。

来音は、八つの村を統一する石王国の王に、紅は王妃となります。

王となったらもう後戻りは出来ません。

来音にとってこの日は、王になる事で、多くを得て「愛する者を失う恐れ」からの脱却の日でもありました。

「愛する者」の存在は、いつしか来音にとって「心の最大の弱点」である為、二度と深入りなどしたくなかったのです。

指輪の精霊の言葉が、聴こえた気がしました。

「愛というものは、人間にとって多くを奪うものなのか?」

あの時、千音への純粋な愛を、指輪の精霊に誓った過去の記憶が、ぼんやりと頭に浮かびました。

でも、来音は「無意味な記憶」として頭から追い払い、結婚式を迎える事にしました。

結婚式を迎えた紅は、笑いが止まりませんでした。

「これで、全てが整ったわ。」

そう笑い。いつもと違って上機嫌でした。

紅の身の回りをお世話してきた者たちは、ホッと肩をなでおろしました。

何故なら、紅を怒らすと大変だからです。

紅は、人を使って必ず、気に食わない者を貶めて来たからです。

その嫌な役目を断ると、次は必ず自分が貶められる為、皆は紅に従うしかありませんでした。「紅の機嫌が良ければ、誰も傷つかない。」だからこの日は、皆にとっても嬉しい日でした。

指輪交換の時に、来音は月明りから、声が聴こえた気がしました。

「来音?あなたは幸せなの?」「わたしたち、精霊はもうあなたのそばには居られなくなるわ。」「来音。あなたは本当に幸せなの?」

来音は、振り払うように「指輪」を手にしました。

来音は、手に取った結婚指輪がとても冷たかった感覚だけは、手の中にいつまでも残りました。

愛とは、奪うものではなく、与えるものである。

しかし、愛を失う痛みや苦しみは、与えた分だけ大きい。

でも、それは理解するより、理解されることを望んだからなのかもしれない。

また、愛とは生きる根源そのものなのである。

「生」を産みだし

「死」を迎えるから「今」を刻む

そこに、「愛」が宿らなければ

「生きながらに死んでいる」ようなもの

あなたの心は「生」か「死」か?

与えられるよりも与えることを

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さて、シャルルたちの「ひっかき大作戦」は吉と出るのか?また思うわぬ救世主現る?!

続く

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来音と千音~たましいの物語5~

紅は日を追う毎に、記憶を取り戻していきました。

紅が取り戻した記憶の話では、月の精霊と紅は一番の友達で「来音と紅が神が定めた運命の人」であるため、月の引力で引き合わせたのだというのです。また紅は、特別霊能力が高い為、救世主として神に選ばれ、そのパートナーとして、月明かりの下にいた来音に、白羽の矢が立ったのだということなのです。

紅は、神とコンタクトを取り始めました。

千音は、森へ薬草を摘みに行った時に、たまたま見掛けた紅と、月の精霊の会話を盗み聞きして、この事実を知ったと同時に、神の使いである紅に、来音を奪われたくないと逆情をして、言葉巧みに紅を森へ連れ出し、記憶喪失になる薬草を飲ましたのだというのです。また、間違いなく千音は、蛇民であり、薬草の術も、全て紅から盗み取ったものだと、神が紅に伝えてきたというのです。

紅は、その場に倒れ込み「なんて!恐ろしい!蛇女!やはり、私の見立ては間違っていなかった。神も、この様に仰る、間違いない。千音は蛇民である!」

そういって、来音に荒々しく、しがみ付きました。

来音は、ショックからなのか。話も空々しくボーっとしていましたが、紅にしがみ付かれハッと我に返りました。

被害者であると主張する紅の姿を見て、来音は無性に守ってあげたくなりました。紅はいつもそばにいてくれます。来音を孤独にはさせません。どんなわがままだって優しく受け止めてくれます。お金もどういう訳かいつも、都合してくれます。紅は、一度だって来音を否定した事はありません。いつも自分を満足させてくれます。

それは、きっと紅が自分を深く愛しているからなのだと、来音は感じ始めました。

それに、毎日紅は、来音が安心して眠るまで、こう言い続けます。

「ずっと、そばにいてあげる。ずっと助けてあげる。あなたは何も悪くないの。苦しまなくていいのよ。私たちは、神に選べれた特別なふたりなの。ずっと幸せにしてあげる。」

ある時、村の集まりがありました。久しぶりに会う友人たちが、来音を見て驚きます。

すっかり、生気を失った姿で、顔は青白く、目が血走っていました。目つきもおかしく、全てを見下しあざ笑う様な、ギョロギョロした薄気味悪い表情でした。

友人たちが、どんな質問を投げかけても、来音は、隣にいる紅としか話しませんでした。

ある時、来音は村中に、こう告げます。

「私と紅は神が定めた、いいなづけ、神の定めを阻害する悪の定めが千音である。いかなる理由があっても、千音を村に入れるな!無断で入れた者は、税の取り立てを10倍にする。」

「また、紅は、隣村の石王国の王女であり、満月の夜に正式に結婚し、この日をもって、私は王となる。この命令は、王の命令と捉えよ!本来であれば、国を脅かす、悪の使者は死罪である。この慈悲深い王令は、紅王妃のおかげと、一人残らず感謝せよ!」

隣村の石王国は、この村を含め8つの村を統一していましたので、王令には従わなくてはなりません。

この日を境に、村人は来音に服従するだけの関係となりました。

来音は、幼いころ「村中を笑顔にして、千音とふたりで想いやりの王国を創る」と言ってました。王には力が必要だからと、来音は民を守れるほど強くなる為に、村中の男の子と剣術の練習をしていました。王妃は王を支える知恵と直感力が必要だからと、千音は、多様の分厚い本を読んで知識を付け、また魔術の練習をしていました。

村中の人は、思いました。二人がいたあの頃は、いつもみんな幸せに満ち溢れていた。みんな、来音と千音の会話が大好きでした。豪快で突拍子もなくて、ユーモラスに溢れていて、二人と一緒にいると、みんな笑顔で幸せな気持ちになれたのでした。

しかし、昔から「魔術」には術師も惑わすことがあり、一度、悪の惑わしに負けた者は、黒魔術師になり、打ち勝った者は、白魔術師になると村では言い伝えられていました。

白魔術師は、愛の力を根源として、世に愛を広げる為に、魔術を行うのですが、この反対に、黒魔術師の根源は、欲の力を根源として、人の欲望を叶え、その代償に多くを奪い、また時には命さえも奪う恐ろしい魔術だと信じられていました。

もしかしたら。千音も、魔術の練習中に「悪」に落ちたのかもしれない。村人が、千音の純真な人柄を知りながらも、千音に疑いを持ってしまったり、紅に反論しないのには、わけがあります。「神のお告げ」と言う以上、納得せざるを得ない程の神託への信仰心が、村人の根底にあるからなのです。また、これを偽った者の血族全員は、死罪に処される大罪なのです。誰もが、大罪を犯してまで、偽造するとは考えれませんので、本心ではおかしいと思いながらも、反論する理由が見当たらないのです。

この様子を、一匹の美しい白猫が、じっと見据えていました。

白くて美しい猫は、シャルルと、千音が名付けた猫です。シャルルがお腹を空かせていると、千音がいつも、パンを分け与えてくれました。また、市場で売り物にならない魚や食べ物を、千音が店主に頼み込み、シャルルとその仲間に与えてくれました。千音は、人間も動物も分け隔てなく、みんなに親切に接していました。また、シャルル達に歌を聞かせてくれたり、人間の事をたくさん教えてくれたりしました。みんな、千音に撫でてもらうのが、心地よくて一番幸せな時間でした。この経由から、当然シャルルは、紅の話が疑わしいと思ってました。それに、想いやりに溢れた千音を大好きな動物がたくさんいます。動物は、心の温度を読み取る能力に長けていますから、嘘は通用しません。千音の事が大好きな動物たちは、嘘の罪を被せられた千音を救うため、シャルルの号令の下、集まって話し合う事にしました。

さて、動物たちの作戦会議は、吉と出るか否かですが、この事実を知れば、千音は動物たちをより深く愛することでしょう。

続く

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来音と千音~たましいの物語2~

来音は、千音に会えるように、月の精霊に毎日祈りました。月の精霊は、来音の純粋な想いに応える様に、月に千音の顔を映し出してくれました。

毎日、村中の人と協力して探し続けましたが、千音が村に帰ってくることは、ありませんでした。

来音は、千音を守れなかった自分を酷く責め続けました。声を押し殺して涙を拭い、また、叫び出したくなる自分を押し殺してただ、ひたすら千音が無事に帰ってくることを月の精霊に祈り続けました。

毎日、月明りの下で、一人で過ごす日々が続きました。

そんなある日のことです。

いつの間にか、女性が現れてこう言うのです。

「道に迷ってしまったの。」

どこから、来たのか、自分の事も分からないというのです。

何かが原因で、記憶喪失になり、道に迷ってしまったというのです。来音は、この女性を、気の毒に思い、一晩泊めてあげる事にしました。

家に着き、お互いの話をしている内に、すっかり意気投合しました。驚くほど、話が合うのです。まるで、千音と話してるみたいです。

また笑うと、千音と似ている気がして、来音は心を許していきました。

そして、記憶が戻るまで、この女性は、来音の家に住むことになりました。

来音は、孤独ではなくなった、安心感からでしょうか?ぐっすりと眠れるようになり、月の明かりの下に行くこともなくなりました。

満月の夜、来音は夢を見ました。

そこは、辺り一面、美しい真っ赤な花が咲き誇ってました。その一寸先には、暖かい日が差し込みんでいました。

美しい光景に、心が穏やかになっていくのが分かりました。

しばらくすると

光の方向から、千音の声が聴こえた気がしました。

来音は、夢中で花を搔き分け、また千音を探しに行きました。

花を抜けると

そこには、幼かった千音の姿がありました。

二人で初めて一緒に飼ったチロンが、花瓶を割ったと村人に怒られてた時の事です。本当は、魚を盗み食べようとした猫の仕業だったのですが、たまたま、その時いたチロンが疑われてしまったのです。

悪い犬!とホウキで叩かれたチロンを千音は、優しく撫でながらずっと励ましていました。

「チロンは何も悪くないのよ。いい子ね。だって、あなたは吠えなかったわ。」

来音は、昔の記憶と違う事に気づきます。この時、千音は泣かなかった。

でも、夢の中の千音は泣いています。何度も千音に、問いかけてみても千音は泣きじゃくるばかり。

後ろから声が聴こえます。

振り返ると、夢から覚めて目の前には、一緒に暮らしている女性が、顔を覗き込んでいました。

ふと、指輪の事を思い出しました。

「たましいも誓いの指輪も輪っか。愛の指輪か、ただの金の指輪か。見定める時が来る。」

指輪に宿る精霊の言葉と、精霊が指輪に掛けた、愛のマジックを、思い出しました。

指輪を探しますが、どこにも見当たりません。

千音への想いが詰まった、大切な指輪です。

もしかしたら、千音を探しに行った時に、森で落としたのかもしれない。

何かに突き動かされる様に、来音は、馬を用意していました。

指輪に掛かった、愛のマジックが、千音へ導いてくれるかもしれない。気づかないうちに、落としてしまったから、あの時は、千音に会えなかったのかもしれない。わずかな希望の光が差したように感じた来音は、指輪を探しに、森へ向かいました。

森へ入った時、背後で何かが、うごめいているような気がしました。

さて、来音は、千音を探し出す事ができるのでしょうか?

続く

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7.light☆story霊夢

2020年11月7日 16:15noto改訂版

聖母マリアは、イエスを神から授かり、受胎した。婚約者であったヨセフは、不義姦通を疑いマリアを愛する故、苦悩と葛藤を繰り返していたが、夢の神託により、マリアは、人間と交わることなく神からイエスを受胎したのを確信した。ヨセフは愛するマリアの潔白に涙した。

思考癖が見せる夢や、体の影響などで見る夢と、比較にならない程の、神秘的で説得力のある夢を神託として、国別問わず、信仰に沿って生きてきた古代の人々は「神のお告げ」として有難く受け取り、日常の幸福として活かしていた。

さて、現代でも、神託は存在する。「脳」が存在する限り本当は、誰でも受信しているはずなのだ。もう少し現実的な説明を、加えると守護霊が関与している。人が眠り、思考が「無」になった時、霊的世界へと繋がるのである。正し、ストレスフルの思考や体では、繋がれない。メッセージを受け取るともなると、波動の高さも関係してくるが、覚えてないだけで、夢を通して守護と「打合せ」は誰もが、頻繁にしているのだ。霊感の有無など一切関係ない。心は魂であり、脳に号令をかけるのは魂である。人間は、魂の存在無くしては生きていけない。そして、魂は霊的存在である為、霊的世界と精通出来るのは、当たり前の事なのである。私はこれを「霊夢」と呼んでいる。

霊夢に入る瞬間が分かる。この瞬間得体のしれない高い波動を感じる。「畏れ」を手放せばいつだって、守護である龍が姿を現す。凄まじいエネルギー体である。霊夢の中で、風圧を感じ、魂が喜んで胸が張り裂けそうな程である。このエネルギーは「愛」そのものであった。年々、龍が増えていっている。最近、姿をみせた龍は、葉っぱの集合体の美しい緑をしていた為「緑龍」と命名した。高い波動を持つ霊には決まりごとがある「自ら名乗らない」自然霊で、ある為、そもそも「名前」など無い。守護と本人との愛称として「名」を人間側が、便宜上の為付けるのである。誰にでも、守護霊は存在する。特別な者だけが存在すると勘違いされては困る為、ここに明記する。また、低次な霊の憑依者や幻覚者は、話が飛び飛びで、一貫性と深みが無く矛盾している。またメッセージの意図の探求が出来ない。

(霊夢での出会い)

今からおよそ6年以上前の霊夢の事である。

霊夢の入口に、タヌキが案内人としていた。幼いころ、タヌキのぬいぐるみが好きだった事もあり、懐かしんで赤い小さな橋を渡った。

タヌキが振り返り「ここからが、黄泉の国なり。」と言って、ニコニコしていた。私は、もうすでに、とんでもないものが来ると感知していた。

その時、凄まじい地鳴りと共に、高速で回転しながら、大型バス程の大きさの金の柱が、井戸から飛び出してきた。この金の柱から、金粉の様な美しいものが舞い散っていた。もっと近くで見ると、うろこの様な宝石は、この世の輝きでは無かった。

「魂が震えるほどの美しさ」であった。

柱の正体をみる事に、畏れ多く感じ辞退することにしたが、この金のエナジーがいつの間にか七色に変わり、体中に注ぎ込み、リンクしているのが分かった。

その時なぜか「全ての苦難が報われた気がした」

(出会った場所は氷川神社に似ていた)

赤い橋へは、神社を経由して行ったのだが、九州には似ている神社が無かった。霊夢の中で可視化させているだけだから、神社はそんなに需要なメッセージでは、無いのかもしれないと思っていたが、そんなことは、なかった。この霊夢から数年後、武蔵一宮 氷川神社(埼玉県https://www.musashiichinomiya-hikawa.or.jp/

に出向いた時、小さな赤い橋と金の柱に出会った位置関係が、ピッタリと合う場所を見つけた。

赤い橋から渡ると井戸がある

上の画像は正に完璧な配置である。

この霊夢が、始まりの合図のように、私のスピリチュアルの扉が完全に開いたのだった。

lightnavigation ライトナビゲーション 大分

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