竹友と明子~魂の愛~

『必ず裏切られるんだ』

人には、不思議な記憶がある。魂に刻まれた記憶だ。今世で、どうしても拭えない負の意識体というものが、存在している。霊魂は浄化しているのに、未浄化のような意識体。

神の道具である高級霊団のガイダンスに狂いはない。

意識を、高層界に繋げていきガイダンスに全てを委ねる。電気が走るとともに、時空が歪んだように、大きな波動波がうねり合わせた意識は、過去世へと繋がる。

どうやら、ひとつ前の過去世のようだ。

海の音が聴こえる。しばらくすると、神社の前で誰かと楽しそうに話していた。

「男性の名前は?」

「たけ・・とぅ・・?たけと・・?たけ。とも。竹友。」

「女性の名前は?」

「明るい子で、お父様が付けた名前・。お父様は憲兵様。あきこ。明子」だった。

もっと、深い意識に入りそうになり、涙が堪え切れずに恐怖心が襲ってくる。

「大丈夫、大丈夫。」

冷静さを取り戻し、現世の意識がガイダンスに信頼を示す様に頷いた。

海に辿り着いた、ひとりだった。ずっと何かを待っている。ずっとずっと。真っ暗な海を眺め何かを待っている。

訳が知りたくなった。

そうすると、呼吸が荒れ、全速力で走っているのが分かった。涙が瀧の様に流れ落ち、震えている。呼吸はどんどん荒くなった。

「どうしたの?何から逃げているの?」

「大きな音!爆発音。人が弾け破れる音。肉体がちぎれる断末魔、悲鳴、怖い。怖い。怖い。」

燃え崩落する大きな音。うめき声。耳が裂ける様な爆弾の音を振り切るように、全速力で走り抜けていた。

走って、走って走って。。何のために、どうしてここに来たのだろう。

目の前には、また真っ黒な海が広がっていた。ここはかつて、竹友さんと音連れた場所だ。いつも、海を散策してから、神社で、お弁当を一緒に食べて、たわいもない話に花を咲かせていた。

ずっと、一緒にいれると信じていた。

こんな世の中で、ふたりで過ごせた時間は何よりもかけがえのない時間だった。

「当番でない時は、絶対に勤め先に出向かないでちょうだい。何か、嫌な気がするの。お願い。絶対よ。お願い。約束して。」

「世界をひっくり返しても、君との約束だけは、破らないよ。またここで会おう。」

互いに、相手を想う気持ちは会うたびに募り、それと共に世は戦争を突き進んでいた。誰もが、飢えと恐怖で気が狂いそうだった。

いつ終わりを迎えるのか?もう、次は会えないかもしれない。

次こそは、想いを打ち明けよう。

そして、また呼吸が荒れる。

走っても、走っても恐怖が襲ってくる。

「どうして、いないの?どうしていないの?」

竹友は、当番以外の日に、どうしてもと、頼まれ海兵の仕事に出かけた。様子を見るだけだからと、家族には心配かけまいと黙って家を出た。

「約束の日には、間に合うのだから。例え時間が掛かっても、必ずお嫁さんとして迎えに行くからね。」

そう、心の中で、明子に誓い。足早に勤め先に出向いた。

お国からの情報以外のレーダーに映る存在を確認するためだった。

現世の意識で、やはり国は国民に嘘の情報で、欺き続けていたのだと確信した。戦争というのは、敵国から殺されるよりも自国から殺されるものなのである。国民を欺き、敵国に殺させるのだ。

出向いた日。竹友は爆撃に合い死んだ。

その亡骸はふたりでよくいった海の砂浜に放り出されていた。

明子は、待っても待っても、来ない竹友に裏切られたのだと嘆き狂った。

「死ぬときは必ず一緒。必ず約束は守る。必ず会いに行くよ。」

竹友の笑顔はどこにもない。姿も無い。いつもより特別に込めて作ったお弁当を握りしめ、爆撃音と共に探しさ迷った。

「まさか、爆撃が・・落ちるなんて・・。」「どこにいるの?」「どこにいるの?」

せめて、ひとめ会ってから死にたい。

走って、走って、走って泣き叫びながら走っても竹友はいない。

どれくらい走り続けたのだろう?

呼吸が難しい

気付いたら、またあの海の前にいた。辺り一面真っ暗な海。

黒い粉だけが、降っていた。

「私にはね。黒い粉が掛からなかったの」そう言って、私の方を振り返ると、明子は倒れ込み動かなくなった。

しばらくして、ガイダンスが入る

「そこから、光の方へ動ける?」

「光があるのがわかる?」

よく見ると、薄っすらと太陽の光が視えた。でも、怖かった。蠢く感情の波に抗えずに、恐怖で蹲っているのが精一杯だった。

「行けない!」

「海の周囲をよく見てごらん。彼がいるでしょう?」

意識を周囲に移すと、右に海兵隊の格好をした彼が、爆破で即死した様子で大の字に横たわっていた。

「手をよく見てごらん」

自分の手だとは、思わずに彼の左の手にひらに、お弁当が有るのがみえた。

桜色の弁当包みに懐かしさを覚え、そこには贈った黄色のお守りも握りしめられていた。

胸元から、垂れ下がっている白のお守りは自分のものだった。

「その、お守りとお弁当を彼に届けてあげなきゃね?」

「光の扉の向こうに、彼が待っているよ。みえる?」

彼の溢れる笑顔に応えるように、顔を力強く上げ直した。

「早く届けなきゃ!」

大きく走って、彼の元へ飛び込んだ。

大きな光に包まれたと思った瞬間

バァン!!

思いっきり、現世の私は引き戻された。

あの世の門番がお辞儀をして扉を閉める瞬間、神前守護神が、凄まじい力で現世の私を突き飛ばし返したのである。

ちょっと、荒いわぁ・・。

ベットにひっくり返った私は思わずつぶやいた。

魂に刻まれたトラウマというものがある。

現世では、どうしようもない傷、あなたにはありませんか?

魂に生き、魂を辿ると魂が求める、真実の愛に辿り着くのです。

愛は無限の可能性を引き出してくれる。

愛で世界を変える時です。悲劇を繰り返してはならない。

さあ、立ち上がりましょう。

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来音と千音~たましいの物語⑩~

来音の気配をかすかに感じながら、千音はベットの上から辺りを見回してみました。

いつの間にか、倒れ込んだ床ではなくふかふかのベットの上で、目覚めた事にも驚きましたが、それだけではありません。誰もいないはずの食堂からも、美味しそうな匂いがしてきます。

また、ここは無人の廃墟だと思っていたのに、窓には美しいカーテンが装飾され、カーテンの隙間からの陽の光が、ピカピカに磨かれた床を美しく照らしていました。衣装スペースには新しく清潔な衣服や靴、美しいドレスや装飾品が、ズラッと並び揃えられていました。

千音は、好奇心の湧くまま、敷地内を歩き回り、この「不思議な出来事」について調べる事にしました。まず最初に分かった事は、書斎の書物からここは以前、城の一部を「薬草診療所」として多くの人に使用されていた事を知りました。薬草の好きな千音は何か「縁」を感じて少し嬉しくなりました。

疑問は最初に戻り、一体誰が千音が眠っていた間に、この城を再び人が住めるように整えたのかを知りたくて仕方なくなりました。

また、全てが、不思議なほど千音好みに整えられていました。

台所に向かうと、一人の少年が、鼻歌を歌いながら楽しそうに料理をしていました。

千音を見ると、食堂で待つように促しました。

千音は少年の目の奥の美しさに、安心して言われるままに、食堂へと向かいました。

「うわぁ~!美味しそう~!!」

千音の好きな、魚料理 たっぷりのチーズ かぼちゃのスープ何から何まで千音の好物で、テーブルいっぱいに並べられていました。

千音は、嬉しさに目を輝かせながら、夢中で食べ始めました。

「あぁお腹いっぱい!」

千音は幸せな気持ちになり、自然と笑みがこぼれました。

そこへ、さっきの少年が現れました。

千音は、少年に心からの感謝を伝え、眠っている間に、なぜ城内が整っているのかを聞いてみる事にしました。

少年の話ではこうです。

少年は、両親を7歳の時に亡くしました。

料理好きな母と農家をしていた父の教えのお陰で、何とかひとりで生きていけるだけの、生活力と食の知恵があったため、大人に頼ることなくひとりで生活してきました。また料理の腕も良かった為、その噂を聞きつけた村人がホームパーティの時に、料理担当のひとりとして、少年を雇いました。これをきっかけに料理担当として多くのパーティに呼ばれる事となりました。そこで、出会った男の人に、この城で「千音という女性の専属料理担当になるように」と依頼を受けたのでした。実はその前日少年は夢の中で「光の中でひとりの女性に料理の腕をふるっていました。」その時の自分は、今までに感じたことが無いほど、充実していました。

その翌日に、依頼されたので「縁」を感じたまま快諾し、この城にやってきました。

この城に、やって来た時はすでに、千音はふかふかのベットで眠り続けていて、城内も今の様に、美しく整えられていたというのです。

依頼をしてきた男性の名は「ジェファー」と名乗り、それ以上はいくら聞いても教えてもらえませんでした。

契約には「質問に応じない項目は一切詮索しないこと」「千音の心身の健康を守り抜くこと」「これに反すると判断した場合は即座に解雇となり、所持する土地や資産は全て差し押さえとなる」「尚、厳守できた暁には、子孫三代まで十分な報酬を与える」というのが、最も重要な契約事項でした。

また、契約を結ぶ前に必ず自分の目で城に向かい確認することを命じられ、その通りに城に向かい千音を初めて見た時に、夢の中の女性と印象が全く一緒で、これは「自分の務め」であると自分の感覚が確信したのでした。

千音は、その男性が実は来音であるのではないかという可能性も含めて、少年に話を聞いてみましたが、少年もサッパリ分からない様子でした。

その話が終わると、「美味しい料理の秘訣」を聞いたりしてすっかり意気投合し、次は一緒に「美味しいハーブクッキー」を作る事を約束しました。

千音は、嬉しくてその日は安心してぐっすりと眠る事が出来ました。

夢の中での千音は、月明かりに照らされた深い森にいました。

その森は慈愛に満ちていて、暗くても、幼い自分の姿は、ひとつも恐れていませんでした。

月明かりの向こうで、来音が呼んでいる気がしました。

「来音。待って、待って」

そう、駆けだした千音はいつの間にか。大人の姿へと変わり

辺りは、すっかりと明るく陽の光に照らされていました。

その時の、千音の気持ちは

無性に嬉しくて仕方なくて、愛しい存在に向かい駆けだしている様でした。

夢から、覚めて扉の向こうに男の人の影が見えました。

「来音・・?」

ベットから飛び起き駆けだして扉に向かった時には、もうその姿はありませんでした。

その変わりに一凛の「赤い薔薇」が置かれていました。

その一凛の赤い薔薇を手に取り、千音は涙が止まりませんでした。

なぜなら、薔薇の時期になると来音は、必ず千音に赤い薔薇を贈ってくれたからです。

「くらしの環境を整えてくれたのは、きっと来音に違いない・・。」

そう想うほど、言葉にならない涙が、次々と溢れ出るのでした。

続く

⇒この物語は構成する時に「自分の過去世が現世に影響している部分」をカードリーディングで引っ張り出しながら構成しました。粗方の展開は決まってますが、細かい部分や来音と千音の登場人物以外は、全て直感で書き進めています。半分過去世の一部、半分フェイクのハズでしたが・・・。

なぜこの構成になったのかは、完結後にお話ししたいと思います。

本日もありがとうございます。引き続きよろしくお願いいたします。

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来音と千音~たましいの物語9~

深い眠りに落ちた千音は、何日も眠り続けました。

千音を心配した月の精霊は、来音の下に訪れました。

月の精霊が現れるころ、来音は権力と財力を手に入れても「幸福」を感じられずに、憂さ晴らしのためにお酒を浴びる程飲み、その場で気を失うように眠っていました。

その姿を見て月の精霊は、深いため息をつきました。

来音のおでこに慈愛の光を残し、月に帰って行きました。来音は、夢を見ました。千音が月の中で、来音と紅の結婚式を悲しんでいる姿が見えました。千音から流れ落ちる涙は「誰も責める事は出来ない、物悲しい美しい涙」に感じました。その宝石の様な美しい涙を見て、来音は感情のダムが崩壊し、叫ぶように泣きました。もう誰に見られても構わないくらい全ての感情を出し切りました。

フッと夢から覚めて、コップの残り酒に映った自分を見て思いました。

「これは誰だろう?」

「本当の自分なんだろか?」

来音は、騎士団の宿舎に自ら歩いていきました。

驚いた騎士団たちは、何事かとざわつきました。来音は、総長を呼びだし指示を出しました。

「千音を探せ」

騎士団の総長は、以前この名前を聞いたことがあります。来音が酔いつぶれた時に寝言で、愛しそうに呟いていた名前でした。この総長は、とても人想いの優しい気質で、多くの者が頼りにしていました。愛情豊かな事もあり、王の言わんとする心情を察して、信頼できる騎士と共に「千音探し」に繰り出しました。

来音は、月の精霊が優しく微笑んだように感じ、初めて自分を少し取り戻したような気がしました。

千音の下に、シャルル達が訪れました。

生気の無い千音は、ただひたすら眠っていました。そんな時、馬の息遣いと共に、懐かしい匂いがしました。シャルルは扉に迎え歩み、訪問者を千音の下へ案内しました。

ようやく、千音がシャルルの鳴き声で、深い眠りから感覚が現実へと戻ってきました。

(一体どれくらい眠っていたのかしら?)

意識がもうろうとしている中、シャルルの後ろに立っている来音を見ました。

来音は何か千音に向かって、話しているのですが、千音は、聞き取ることができませんでした。

(来音・・。聞こえない・・。聞こえない・・。)

次は、鳥のさえずりで、はっきりと目が覚めました。

ハッとしてあたりを見回してみましたが、そこに来音の姿はありませんでした。

その変わりに、目の前に広がる光景を見て、千音は驚きを隠せませんでした。

その、光景を目の当たりにして、来音の優しさの中に存在する自分を、ひとつひとつ大事に感じ取っていました。

続く

⇒さて、その光景とは何でしょうか?

来音と千音~たましいの物語8~

満月の夜に結婚式を迎えた来音と紅。

紅は指輪交換の時に、「この指輪の秘密」について思い出していました。

この結婚指輪は、実は紅のかつての婚約者との為に作られたものでした。

紅の元婚約者は、貿易の仕事の為に、乗り込んだ船が難破し帰らぬ人となってしまったのです。政略結婚ではあったものの、相手は紅が幼い頃から憧れていた人でやっとの思いで、結婚まで到達出来た想いが強く残り悲しみはいつしか恨みと怒りへと変わりました。

紅は幼い頃から、自分の欲しいものは全て手に入れ、誰に怒られる事もなく、また気に食わない者には苦痛を与える事で自分を保ってきました。

この出来事は、更に紅をダークな世界へと堕としていきました。

「私がこんなに不幸なんだから世の人々はもっと不幸になればいい。そうすれば、みじめな思いなどしなくていいわ。」

ある日、城の使いの者があまりの苦痛に耐えきれずに、紅から逃げ出しました。

そして、逃げ出す人の数は日毎増していきました。

紅は逃げ出す者たちのルートを探り、さらに苦痛を与えてやろうと森に入っていきました。

森を歩いているといつの間にか朝を迎え、朝日の美しい光の中に、ひとりの女性の姿が見えました。

その女性の周りにはたくさんの猫や犬たちが、くつろいで戯れていました。

そして、女性はひとりの男性との愛に包まれた話を動物たちに幸せそうに話をしていました。

その女性の表情はこの上ない幸せで満ち溢れていました。

女性を見れば見る程、話を聞けば聞くほど紅は「許せない」気持ちで憎悪が抑えきれませんでした。私が掴むハズだった幸せをこの女が味わっているなんて許せない。

「私と同じみじめな想いをさせてあげる。その幸せは私のものよ!」

紅はいかにして、この女性に苦痛を与えるか緻密に計画を立て始めました。

紅はこの瞬間がとても充実しています。

「あの幸せそうな顔を必ず不幸のどん底に墜とし込めてやるわ。」

女性の後をこっそり追い、日常を観察した上で、どの方法が一番苦痛を、与える事ができるか紅は考えることにしました。

そして生気のない不幸な表情を思い浮かべるだけで、紅は笑いが止まりませんでした。

そんなある日、鼻歌を歌いながらあの女性が、薬草カゴを持って森に入って行くのが見えました。

「今だわ」

紅は女性にそっと近づきこう伝えました。

「道に迷ってしまったの。記憶も無くしてしまったみたい・・・。きっと誰かが風邪を引いてしまったからこの森の薬草を摘みに来たはずなんだけど・・。」

その女性は、紅が想像していたよりも遥かに、親切に寄り添ってくれましたが、紅には疎ましくて仕方がありませんでした。また親切にした分、裏切られた悲しみは深くなるだろうと想定し紅は、言葉巧みに弱い自分を演じ続け、その女性に擦り寄りました。

そして、隙をみて背後から頭を思い切り拾った太い木で、殴り付けました。

そこへ以前、紅の城から逃げ出した使いの者に「見逃してやるから、この女を城の監禁部屋に入れろ。」と指示を出したのです。

そうです。こうして紅は巧みに千音を監禁部屋に追いやったのでした。

そして、次は、千音の最愛である来音に隙入る為に、千音を失った来音の心が一番弱まる時を粘質的に待ち望んでいました。

月明かりの下で来音を見つけた時、紅は「神は自分の味方である」と強く思いました。

紅は全ての憎しみは「千音」が肩代わりするべきで千音の「幸せ」は全て自分が受けるべきだと神に祈りを捧げました。

そして、紅は悪神に魂を売りました。

紅は力が沸き上がり「これが幸せへの最善の方法」と悪神に全てを委ねました。

紅と来音は結婚式を終え、来客のお見送りをするところでした。

そこへ、命からがら監禁部屋から脱出し、来音が千音の為に作った婚約指輪を馬の首にぶら下がっているのを発見して、来音の愛を信じて馬に乗り込んだ千音が到着しました。

そして、結婚式のお見送りをしている仲睦まじい二人の姿を千音は見る事となってしまいました。

「どうして・・。こんなことに・・。」

「来音の心にもう私はいない。」

隣の女性はあの時の『記憶を失った女性』

この後『頭に鈍痛が走り、気を失い監禁された記憶』

全てが闇の中を蠢く浅ましい戦略である様な、感覚が消えませんでした。

昔「月の精霊」の本で蛇民の事を知り、また違う書物で蛇民が何をしてきたかの歴史の本を千音は読んでいたことがあります。

「まるで・・。蛇民のやりかた・・。」

また、蛇民に心を売るものはもう戻らないと村人は信じていました。

千音は、悲しみなのか、怒りなのか、恐れなのか何が何だか分からない感情が溢れだしその場から、逃げる様に馬に乗り込み立ち去りました。

千音はこのまま消えてしまいたいと、崖の上に馬を走らせました。

どのくらい、どの道を走ったでしょうか?

崖の一寸先にひとつの城が見えてきました。

馬は迷わずこの城に向かいました。

人気の全くない城の扉の前に到着した時、千音は何も考えれないくらい衰弱していました。

何とか扉を空け、千音はそのまま深い眠りに落ちていきました。

『月夜の美しい時、二つの扉が開く 

ひとつは、蛇(じゃ)の世界へ続く 邪民の村

もうひとつは、精霊の世界へ続く 聖民の村

人は、蛇でもなければ精霊でもない

人の心が決める それが 運命の分かれ道 :月の精霊の本』

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さて、次回は・・・・。一体どうなるのでしょうか!?一緒に想像してみてください。「来音と千音~たましいの物語~」好評頂きありがとうございます。引き続きお楽しみ下さい。

来音と千音~たましいの物語7~

千音とシャルル達のひっかき大作戦は、難航していました。

それもそのはずです。いくら朽ちていてもそう簡単に窓枠は壊れません。

千音は疲れ果ててしまい思わず床に座り込んでしまいました。またシャルル達も、爪元から血が出始めましたので、しばし休憩を取ることにしました。

やるせない気持ちの千音は月を眺めながら歌い始めました。

月夜に美しい旋律が聴こえたならば

精霊たちの歌声に耳澄ませ

清き耳であれば、共に奏でることができよう

静寂の祈りの中、神を想うか我を想うか

月の慈しむ愛が、今宵も美しき旋律を奏でる

歌いながら千音は「私は一体どうしたらいいのだろう・・・。」

思わず涙が一粒流れ落ちました。

そしてまた一粒また一粒・・・。

いつしか涙が止まらなくなってしまいました。

シャルル達は、すっかり弱気になってしまった千音を、勇気づけるかのように、また窓枠をひっかき始めました。中には爪が折れてしまう猫も居ましたが、みんな決して諦めませんでした。

シャルル達は、千音と一緒に日向ぼっこをしながら、話や歌を聞いて、心が温まる日々を取り戻したいと考えていました。

そんな時、どうしようもない現状を見て、月の精霊が何かを祈り始めました。

月の精霊の頭上はこの世で見たことない程、美しい宝石の様な輝きを放っていました。

月がほんの一瞬、息をのむ程、輝いたと思った時。

ゴゴゴゴゴゴゴォォォ

地鳴りと共に稲妻が遠くでうごめいていました。

危険を察知して、千音は慌ててシャルル達を、窓枠から逃がしました。

「どこか安全な所へいってちょうだい。」

裂ける様な雷の音はどんどん近づいてきました。恐る恐る窓から様子をみると雷ばかりではありません。

あたり一面を巻き込みながら竜巻が、こちらに向かってくるではありませんか。

千音とシャルルは、遠く離れたところからアイコンタクトを取り、お互いの無事を祈り合いました。千音はあまりの恐怖に目を瞑って大きな柱にしがみ付くしかありませんでした。シャルル達も怖くて仕方なくて目を瞑って、可能な限り身を低くして近くの岩穴に震えながら隠れました。

ゴゴゴゴゴゴゴ!!ビューー-!!

もう、すぐそばまで来ています。

バリバリバリッ!!ドォーーーーーーン!!!!

耳がキーーーーーンと張りつめ、しばらく何も聞こえませんでした。

どれだけ時間が立ったか分かりませんが、ゆっくりゆっくりと千音は目を開けました。

辺りを見渡し驚きを隠せませんでした。

さっきまで、四苦八苦していた窓枠がすっかり無くなっていました。

いえ、窓枠どころか壁一枚無くなっていました。

あまりに衝撃的な光景に唖然としながらも、千音は「これで、囚われの身から解放されるわ!」と歓喜をあげていました。

そこへ、一体の龍がやってきました。

「千音、お前は月夜に我を想うか、神を想うか?」

龍の問いかけに千音はこう答えました。

「月夜に仲間の愛と勇気を想い、神を想います。」

龍は頷き、軽快に去っていきました。

月の精霊がまた現れて、月明かりで道を照らしながら千音にこう言いました。

「千音、月明かりを頼りに逃げるのよ。」

駆け寄っってきたシャルル達と互いの無事を心から喜び合うのも、つかの間、とにかく一刻も早くこの場から離れる事にしました。

目の前に、美しい月明かりに照らされた、一頭の馬が現れました。

馬は何か言いたそうに、千音をジッと見つめていました。

千音は歩み寄って、馬を撫でてコミュニケーションを取る事にしました。

撫でている手に何かが引っ掛かり、馬の首に指輪が括り付けているのを見つけました。

指輪をよく見てみると、内側に何か刻まれていました。

『Dear Chion :True love :From your Raion』

このメッセージを読み、あの時、照れくさそうに「大事な話がある」といって来音が切り出し、一緒に食事をする約束をした日の事を思い出しました。

「まさかプロポーズをするつもりだったなんて・・。」

「来音に会わなきゃ!」

「来音が待っているわ!」

千音は、来音の愛を信じ、勢いよく馬に乗りました。

「お馬さん、来音の所に連れて行ってちょうだい。」

停めようとするシャルル達に気付かず、後で合流する約束をして、千音は馬と共に勢い良く、来音の元へと向かいました。

月夜に神に祈りを捧げ、神を想う

龍は神の御心に合わせ舞い踊る

我と神が一体となるまで舞い踊る

さて、次回は満月の結婚式を迎える来音の時間軸です。千音と再会?来音の心は戻るのか?

来音と千音~たましいの物語~6

月夜に美しい旋律が聴こえたならば

精霊たちの歌声に耳澄ませ

清き耳であれば、共に奏でることができよう

静寂の祈りの中、神を想うか我を想うか

月の慈しむ愛が、今宵も美しき旋律を奏でる

千音は、夢をみていました。猫のシャルルたちと陽だまりの中、千音は「うさぎとかめ」の話をした事を、夢の中で思い出していました。

うさぎは、かめのあしのおそさを、ばかにしました。うさぎとかめは「かけっこ」をしてどちらが、はやくゴールできるか、ためしてみることにしました。
うさぎは、あまりにおそいかめと、かけっこするのが、ばからしくなり、かけっこのとちゅうで、ねむってしまいました。そのすきに、かめはうさぎよりも、さきにゴールをすることができたのです。

千音はシャルル達に、不得意な事を指さし笑う「うさぎ」と、自分の不得意さを恥じる事無く、懸命に挑む「かめ」の共通点は「自信」なんだと話しました。うさぎは「自信過剰」で、かめは、予測できる結果がどうであれ「自分を信じる事」を諦めなかったから、神様がご褒美をくれたんだと、千音はシャルル達に声を弾ませ言い聞かせていました。シャルル達は「自分を信じる」大切さに、キラキラした様子で千音の話をジッと聞いていました。

フッと夢から覚めて、千音は思いました。

「今の私は自分を信じれているかしら?」

月明かりが差す、小さな窓をみると「満月」でした。

そう、今夜は「脱出決行日」だったのです。

月の精霊が「千音?心の準備はいい?」

千音は、自分に言い聞かせるように、静かに頷きました。

小さな窓のひとつに、月の色をした美しい小さな光がキラキラと集まっていました。

千音は、導かれるように、その小さな窓の方に向かいました。

よく、窓枠を見てみると枠が風化により朽ちているのが、分かりました。

「何とかなるかも、しれない。」

千音は、この窓枠を壊せる硬いものはないかと、辺りを見回しました。

その時

外が騒がしくなりました。

ニャーニャーニャー

猫の鳴き声が、何重にもなって聞こえてきました。

外を見ようと、窓に近づきました。なんと窓の外側にシャルルが居ました。

千音は、驚きとシャルルに会えた喜びで、一気に勇気が湧きました。

シャルルが千音に、愛情深く微笑んでいる様に見えました。シャルルは爪で朽ちた窓枠をひっかき始めました。

その音を聞き、外窓の縁に乗れる分だけの、猫が集まって皆で窓枠をひっかき始めました。

千音は、この行動を見てシャルル達みんなが、自分を助けにきてくれたのだと理解し、嬉しくて仕方がなくて、笑顔と涙でぐちゃぐちゃになっていました。そしてポケットのハンカチを出そうとしたとき、家の鍵が落ちました。

「そうだ!鍵で朽ちたところを壊してみよう。」

こうして、千音とシャルル達は必死で、窓枠を壊し始めました。

さて、こちらは来音の時間軸です。

「満月の夜」には、ふたつの物語があります。

一つ目は、「千音の脱出」

二つ目は、「来音と紅の結婚式」です。

来音は、八つの村を統一する石王国の王に、紅は王妃となります。

王となったらもう後戻りは出来ません。

来音にとってこの日は、王になる事で、多くを得て「愛する者を失う恐れ」からの脱却の日でもありました。

「愛する者」の存在は、いつしか来音にとって「心の最大の弱点」である為、二度と深入りなどしたくなかったのです。

指輪の精霊の言葉が、聴こえた気がしました。

「愛というものは、人間にとって多くを奪うものなのか?」

あの時、千音への純粋な愛を、指輪の精霊に誓った過去の記憶が、ぼんやりと頭に浮かびました。

でも、来音は「無意味な記憶」として頭から追い払い、結婚式を迎える事にしました。

結婚式を迎えた紅は、笑いが止まりませんでした。

「これで、全てが整ったわ。」

そう笑い。いつもと違って上機嫌でした。

紅の身の回りをお世話してきた者たちは、ホッと肩をなでおろしました。

何故なら、紅を怒らすと大変だからです。

紅は、人を使って必ず、気に食わない者を貶めて来たからです。

その嫌な役目を断ると、次は必ず自分が貶められる為、皆は紅に従うしかありませんでした。「紅の機嫌が良ければ、誰も傷つかない。」だからこの日は、皆にとっても嬉しい日でした。

指輪交換の時に、来音は月明りから、声が聴こえた気がしました。

「来音?あなたは幸せなの?」「わたしたち、精霊はもうあなたのそばには居られなくなるわ。」「来音。あなたは本当に幸せなの?」

来音は、振り払うように「指輪」を手にしました。

来音は、手に取った結婚指輪がとても冷たかった感覚だけは、手の中にいつまでも残りました。

愛とは、奪うものではなく、与えるものである。

しかし、愛を失う痛みや苦しみは、与えた分だけ大きい。

でも、それは理解するより、理解されることを望んだからなのかもしれない。

また、愛とは生きる根源そのものなのである。

「生」を産みだし

「死」を迎えるから「今」を刻む

そこに、「愛」が宿らなければ

「生きながらに死んでいる」ようなもの

あなたの心は「生」か「死」か?

与えられるよりも与えることを

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さて、シャルルたちの「ひっかき大作戦」は吉と出るのか?また思うわぬ救世主現る?!

続く

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来音と千音~たましいの物語5~

紅は日を追う毎に、記憶を取り戻していきました。

紅が取り戻した記憶の話では、月の精霊と紅は一番の友達で「来音と紅が神が定めた運命の人」であるため、月の引力で引き合わせたのだというのです。また紅は、特別霊能力が高い為、救世主として神に選ばれ、そのパートナーとして、月明かりの下にいた来音に、白羽の矢が立ったのだということなのです。

紅は、神とコンタクトを取り始めました。

千音は、森へ薬草を摘みに行った時に、たまたま見掛けた紅と、月の精霊の会話を盗み聞きして、この事実を知ったと同時に、神の使いである紅に、来音を奪われたくないと逆情をして、言葉巧みに紅を森へ連れ出し、記憶喪失になる薬草を飲ましたのだというのです。また、間違いなく千音は、蛇民であり、薬草の術も、全て紅から盗み取ったものだと、神が紅に伝えてきたというのです。

紅は、その場に倒れ込み「なんて!恐ろしい!蛇女!やはり、私の見立ては間違っていなかった。神も、この様に仰る、間違いない。千音は蛇民である!」

そういって、来音に荒々しく、しがみ付きました。

来音は、ショックからなのか。話も空々しくボーっとしていましたが、紅にしがみ付かれハッと我に返りました。

被害者であると主張する紅の姿を見て、来音は無性に守ってあげたくなりました。紅はいつもそばにいてくれます。来音を孤独にはさせません。どんなわがままだって優しく受け止めてくれます。お金もどういう訳かいつも、都合してくれます。紅は、一度だって来音を否定した事はありません。いつも自分を満足させてくれます。

それは、きっと紅が自分を深く愛しているからなのだと、来音は感じ始めました。

それに、毎日紅は、来音が安心して眠るまで、こう言い続けます。

「ずっと、そばにいてあげる。ずっと助けてあげる。あなたは何も悪くないの。苦しまなくていいのよ。私たちは、神に選べれた特別なふたりなの。ずっと幸せにしてあげる。」

ある時、村の集まりがありました。久しぶりに会う友人たちが、来音を見て驚きます。

すっかり、生気を失った姿で、顔は青白く、目が血走っていました。目つきもおかしく、全てを見下しあざ笑う様な、ギョロギョロした薄気味悪い表情でした。

友人たちが、どんな質問を投げかけても、来音は、隣にいる紅としか話しませんでした。

ある時、来音は村中に、こう告げます。

「私と紅は神が定めた、いいなづけ、神の定めを阻害する悪の定めが千音である。いかなる理由があっても、千音を村に入れるな!無断で入れた者は、税の取り立てを10倍にする。」

「また、紅は、隣村の石王国の王女であり、満月の夜に正式に結婚し、この日をもって、私は王となる。この命令は、王の命令と捉えよ!本来であれば、国を脅かす、悪の使者は死罪である。この慈悲深い王令は、紅王妃のおかげと、一人残らず感謝せよ!」

隣村の石王国は、この村を含め8つの村を統一していましたので、王令には従わなくてはなりません。

この日を境に、村人は来音に服従するだけの関係となりました。

来音は、幼いころ「村中を笑顔にして、千音とふたりで想いやりの王国を創る」と言ってました。王には力が必要だからと、来音は民を守れるほど強くなる為に、村中の男の子と剣術の練習をしていました。王妃は王を支える知恵と直感力が必要だからと、千音は、多様の分厚い本を読んで知識を付け、また魔術の練習をしていました。

村中の人は、思いました。二人がいたあの頃は、いつもみんな幸せに満ち溢れていた。みんな、来音と千音の会話が大好きでした。豪快で突拍子もなくて、ユーモラスに溢れていて、二人と一緒にいると、みんな笑顔で幸せな気持ちになれたのでした。

しかし、昔から「魔術」には術師も惑わすことがあり、一度、悪の惑わしに負けた者は、黒魔術師になり、打ち勝った者は、白魔術師になると村では言い伝えられていました。

白魔術師は、愛の力を根源として、世に愛を広げる為に、魔術を行うのですが、この反対に、黒魔術師の根源は、欲の力を根源として、人の欲望を叶え、その代償に多くを奪い、また時には命さえも奪う恐ろしい魔術だと信じられていました。

もしかしたら。千音も、魔術の練習中に「悪」に落ちたのかもしれない。村人が、千音の純真な人柄を知りながらも、千音に疑いを持ってしまったり、紅に反論しないのには、わけがあります。「神のお告げ」と言う以上、納得せざるを得ない程の神託への信仰心が、村人の根底にあるからなのです。また、これを偽った者の血族全員は、死罪に処される大罪なのです。誰もが、大罪を犯してまで、偽造するとは考えれませんので、本心ではおかしいと思いながらも、反論する理由が見当たらないのです。

この様子を、一匹の美しい白猫が、じっと見据えていました。

白くて美しい猫は、シャルルと、千音が名付けた猫です。シャルルがお腹を空かせていると、千音がいつも、パンを分け与えてくれました。また、市場で売り物にならない魚や食べ物を、千音が店主に頼み込み、シャルルとその仲間に与えてくれました。千音は、人間も動物も分け隔てなく、みんなに親切に接していました。また、シャルル達に歌を聞かせてくれたり、人間の事をたくさん教えてくれたりしました。みんな、千音に撫でてもらうのが、心地よくて一番幸せな時間でした。この経由から、当然シャルルは、紅の話が疑わしいと思ってました。それに、想いやりに溢れた千音を大好きな動物がたくさんいます。動物は、心の温度を読み取る能力に長けていますから、嘘は通用しません。千音の事が大好きな動物たちは、嘘の罪を被せられた千音を救うため、シャルルの号令の下、集まって話し合う事にしました。

さて、動物たちの作戦会議は、吉と出るか否かですが、この事実を知れば、千音は動物たちをより深く愛することでしょう。

続く

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来音と千音~たましいの物語4~

愛を追うものは、愛に拒まれ

愛を分け与える者は、愛を与えられる

幾千の時代に、何度も巡り合う魂

互いの、魂を「音」で知る

寄り添うもつかの間

真の愛こそ難多き旅

それが真の道の定めにあり

叶わぬ想い、来世へ継がれる

嘆かわしいふたつの魂

千音は、ここからどうすれば、脱出できるのか必死で考えてました。

最初は、囚われた恐怖心から助けてもらう事ばかりを考えていましたが、自分で抜け出す策を練る事にしました。何故なら、助けに来た来音が、危険にさらされるような事があってはならないからです。

来音は、千音が落ち込んでいるときは決まって「千音は強くて賢いから大丈夫だよ。」といって励ましてくれた事を、思い出したのです。

そして、千音は月の精霊に、来音への伝言を頼みました。

「来音へ 私を探しに来ないで もうあれからどうれだけの月日が流れたのか分からないわ。ここから、出れるか分からない私の事は、忘れて幸せになってね。」

月の精霊は、千音に聞きます。

「本当にそれでいいの?」

千音は、ただ静かに泣いていました。

哀れに思った、月の精霊は千音に寄り添う事に決めました。

この日から、月の精霊と千音は一番の友達になりました。

月から見守れる安全なルートで、逃げ出す事に決めました。

決行の日は、月明かりが良く届く「満月の日」にしました。

さて、来音の時間軸です。

来音は、記憶を失った女性の名前と住んでいた場所を、知ることになります。

服のポケットに、名前と家の所が記されたペンダントを洗濯した時に、発見したのです。

名前は、「紅・べに」で家は、隣村の石職人の村でした。

紅は、なぜそんなに森へ行くのかを来音に尋ねました。

来音は、紅に全てを話しました。どれだけ、千音を愛しているかも。

紅はこう言いました。

「あなたは、きっと騙されているわ。運命の人なら、あなたの前から居なくなるわけないわ。運命の人じゃないから、縁が切れたのよ。あなたをこんなに不安にさせて、きっとその女は蛇に違いないわ。私はあなたを裏切らない。ずっとそばにいてあげる。危険なものは全て私が取り去ってあげるわ。私こそあなたの真実の愛の相手なのよ。だから神が私たち二人を巡り合わせたのよ。神を裏切る事なんてできないわ。お願い私から、離れないで。その女は魔物なのだから。一緒に幸せになりましょう。いつまでも、過去を追うなんてあなたの両親や、友人がみんな心配するわ。辛いだろうけど、あなたを不幸にさせる縁もきっとあるのよ。」

来音は、もう千音を忘れた方が良いのではないかと思い始めました。

確かに、紅の言う通り、千音が居なくなってからは、自分の殻にこもりきりでした。どれだけの友人が自分の元を去った事か。真実の相手なら、自分に幸福感を与えてくれるに決まっていると、紅の意見に賛同したのでした。

来音の様子を見に来た月の精霊は、千音の涙の訳が分かった気がしました。

月の精霊は、千音の元に帰りました。

千音は「来音が今日も幸せでありますように。」そう言って祈りを捧げていました。

月の精霊は、この時、初めて泣きました。

精霊たちは、誓いに背くことはありません。しかし人間は、意図も簡単に誓いを消し忘れてしまう無情さに、精霊たちは心を痛めるのです。

何も知らない千音は、月の精霊を優しくいつまでも励まし続けました。

さて、この後も、運命の歯車は容赦なく千音に痛みを与えるのでした。

続く

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来音と千音~たましいの物語3~

あれから、どれくらいここにいるんだろう?

月明かりを物悲しく眺めながら、千音は、ここに来た経由を思い出していました。

あの日、千音は来音の為に、薬草を積みに森へ入っていきました。何故なら、来音が手にやけどや傷を残して、仕事から帰ってくることが多くなったからです。森に行くついでに、来音の誕生日も近い為、サプライズプレゼントを、森の隣に続く村に買いに行くことにしていました。実は手の傷は、来音が千音に愛を誓った指輪を自ら作った時のものなのですが、千音には、内緒にしていた為、仕事内の傷と、千音は思い違いをしていたのでした。

そんな時、記憶を失ったという女性に出会いました。この女性が最後に覚えているのは、風邪をひいてしまった誰かの為に、薬草を積みに森に入った所で、どういう訳か記憶を失い、道に迷ったというのです。

千音は、この女性を気の毒に思い、おそらく森を挟んだ隣の村の者で在ろうと予測し、風邪に良い薬草を探して待たせ、家まで付き添う事に決めました。

千音は、「夕食は一緒に食べようね。話したい事があるんだ。」そういって、嬉しそうにしていた、来音の笑顔を思い出しました。

少し、遅れても来音なら分かってくれるわ。

そう思って、千音は、隣の村へ歩き始めました。

ふと、振り返ると、そこには女性の姿がありませんでした。

千音は、心配になって、女性を探すことにしました。

背後から、物音がしたと思ったら、頭に鈍い音が響きそのまま記憶を失ってしまいました。

目が覚めた千音の手には、縄が掛かっていました。

千音は恐ろしくて泣いてしまいました。

何者かに、囚われてしまった千音は、毎日月明かりを見ながら、来音が助けに来てくれる事を、信じて待っていました。

必ず、来音なら迎えに来てくれる。

そう、月の精霊に祈りながら恐怖で、千音は涙が止まらなかったのでした。

救いを求める者

救い出したい者

その想いは、恐れからか愛なのか

月の精霊たちは、「真実の愛」に全てを託した。

さて、時間軸を来音に戻します。

「ギャー!」

来音の背後で、悲鳴がしました。馬が暴れ出し、来音は振り落とされてしまいました。

見上げると、そこには、家にいるはずの女性がいました。どうしたのか、訳を聞いてみると、一人で家にいるのが怖くなったから、来音の後を追ってきたのだというのです。その道中、物影に驚いてしまい、声を上げてしまったとのことです。

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来音は、その女性に馬に乗って家に、帰る様に促そうとしましたが、いつの間にか、忽然と馬の姿はいなくなっていました。

来音は、女性を一人で歩いて帰す訳にもいかずに、引き返す事にしました。

月明かりが泣いているように見えました。

朝になり、来音は、女性に不安にならずに留守番をしてもらうために、本を買いに行きました。

懐かしい本を見つけました。千音がよく読んでいた本です。

「月の精霊」のお話で、月の精霊は、人々の幸せを願って、夢にメッセージを送る仕事をしている月の精霊の世界を語った、挿絵の美しい物語です。千音は眠るのが怖い時は「月の精霊」に会えると信じて安心して眠っていました。

何となく、最後のページを開いてみたらこんなことが書いていました。

『月夜の美しい時、二つの扉が開く 

ひとつは、蛇(じゃ)の世界へ続く 邪民の村

もうひとつは、精霊の世界へ続く 聖民の村

人は、蛇でもなければ精霊でもない

人の心が決める それが 運命の分かれ道』

来音は、不思議に思います。

「こんな文章あったけなぁ。」

本心は、追い詰められた時にこそ全て見える。

敵か味方か

蛇か聖か

続く

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来音と千音~たましいの物語2~

来音は、千音に会えるように、月の精霊に毎日祈りました。月の精霊は、来音の純粋な想いに応える様に、月に千音の顔を映し出してくれました。

毎日、村中の人と協力して探し続けましたが、千音が村に帰ってくることは、ありませんでした。

来音は、千音を守れなかった自分を酷く責め続けました。声を押し殺して涙を拭い、また、叫び出したくなる自分を押し殺してただ、ひたすら千音が無事に帰ってくることを月の精霊に祈り続けました。

毎日、月明りの下で、一人で過ごす日々が続きました。

そんなある日のことです。

いつの間にか、女性が現れてこう言うのです。

「道に迷ってしまったの。」

どこから、来たのか、自分の事も分からないというのです。

何かが原因で、記憶喪失になり、道に迷ってしまったというのです。来音は、この女性を、気の毒に思い、一晩泊めてあげる事にしました。

家に着き、お互いの話をしている内に、すっかり意気投合しました。驚くほど、話が合うのです。まるで、千音と話してるみたいです。

また笑うと、千音と似ている気がして、来音は心を許していきました。

そして、記憶が戻るまで、この女性は、来音の家に住むことになりました。

来音は、孤独ではなくなった、安心感からでしょうか?ぐっすりと眠れるようになり、月の明かりの下に行くこともなくなりました。

満月の夜、来音は夢を見ました。

そこは、辺り一面、美しい真っ赤な花が咲き誇ってました。その一寸先には、暖かい日が差し込みんでいました。

美しい光景に、心が穏やかになっていくのが分かりました。

しばらくすると

光の方向から、千音の声が聴こえた気がしました。

来音は、夢中で花を搔き分け、また千音を探しに行きました。

花を抜けると

そこには、幼かった千音の姿がありました。

二人で初めて一緒に飼ったチロンが、花瓶を割ったと村人に怒られてた時の事です。本当は、魚を盗み食べようとした猫の仕業だったのですが、たまたま、その時いたチロンが疑われてしまったのです。

悪い犬!とホウキで叩かれたチロンを千音は、優しく撫でながらずっと励ましていました。

「チロンは何も悪くないのよ。いい子ね。だって、あなたは吠えなかったわ。」

来音は、昔の記憶と違う事に気づきます。この時、千音は泣かなかった。

でも、夢の中の千音は泣いています。何度も千音に、問いかけてみても千音は泣きじゃくるばかり。

後ろから声が聴こえます。

振り返ると、夢から覚めて目の前には、一緒に暮らしている女性が、顔を覗き込んでいました。

ふと、指輪の事を思い出しました。

「たましいも誓いの指輪も輪っか。愛の指輪か、ただの金の指輪か。見定める時が来る。」

指輪に宿る精霊の言葉と、精霊が指輪に掛けた、愛のマジックを、思い出しました。

指輪を探しますが、どこにも見当たりません。

千音への想いが詰まった、大切な指輪です。

もしかしたら、千音を探しに行った時に、森で落としたのかもしれない。

何かに突き動かされる様に、来音は、馬を用意していました。

指輪に掛かった、愛のマジックが、千音へ導いてくれるかもしれない。気づかないうちに、落としてしまったから、あの時は、千音に会えなかったのかもしれない。わずかな希望の光が差したように感じた来音は、指輪を探しに、森へ向かいました。

森へ入った時、背後で何かが、うごめいているような気がしました。

さて、来音は、千音を探し出す事ができるのでしょうか?

続く

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来音と千音~たましいの物語~

たましいに刻まれた二人の物語。

幼い来音と千音は、美しい自然に囲まれた村に住んでました。

野山を駆け回るのも、野花を摘みに行くのもいつも一緒。明けても暮れても二人は、飽きることなくいつも一緒でした。

どちらかが、悲しい時は二人とも悲しくなり。どちらかが嬉しい時は二人とも嬉しくなりました。それだけ二人は特別な存在だったんです。

「大人になっても、ずっと一緒だよ。」

その約束を、大切にしながら二人は、大人へと立派に成長していきました。大人になっても、飽きる事などなくて、自分の片割れの様に愛していました。

来音は、千音の為に、指輪を自分で作りました。想いのこもった大切な指輪です。指輪に宿る、鉱物の精霊たちは二人の純愛に心からの祝福を込めたマジックを指輪に込めてくれました。不思議な能力のある精霊たちは、指輪を受け取る来音に、こう言い残しました。「たましいも誓いの指輪も輪っか。愛の指輪か、ただの金の指輪か。見定める時が来る。」

さて、来音は、村中にお知らせをして、千音にサプライズプロポーズの準備に追われていました。千音は、頼まれものがあり、隣の村まで出かけていました。

夕暮れ時、千音が帰ってくる頃です。あらかじめ夕食は一緒に食べる約束をしていましたから、きっと村に帰ったら一目散に笑顔で、来音の元に駆け寄ってくるはずです。

しかし、千音は帰ってきません。

来音は、時間が過ぎる毎に、嫌な予感しかしませんでした。

そのうち、止める村の人たちを払いのけ、隣の村に続く森に、入っていきました。

もうすっかり、夜になった森には、獣が出る為、みんな、千音と来音が心配でたまらなくて泣いていました。

「一体、千音は何しに行ったんだよ!」そう切り出した、村人に誰も、答えれませんでした。

何故なら、「誰に何を頼まれたか」誰も知らなかったからです。

一体千音に、何が起こったのでしょう。

続く

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7.light☆story霊夢

2020年11月7日 16:15noto改訂版

聖母マリアは、イエスを神から授かり、受胎した。婚約者であったヨセフは、不義姦通を疑いマリアを愛する故、苦悩と葛藤を繰り返していたが、夢の神託により、マリアは、人間と交わることなく神からイエスを受胎したのを確信した。ヨセフは愛するマリアの潔白に涙した。

思考癖が見せる夢や、体の影響などで見る夢と、比較にならない程の、神秘的で説得力のある夢を神託として、国別問わず、信仰に沿って生きてきた古代の人々は「神のお告げ」として有難く受け取り、日常の幸福として活かしていた。

さて、現代でも、神託は存在する。「脳」が存在する限り本当は、誰でも受信しているはずなのだ。もう少し現実的な説明を、加えると守護霊が関与している。人が眠り、思考が「無」になった時、霊的世界へと繋がるのである。正し、ストレスフルの思考や体では、繋がれない。メッセージを受け取るともなると、波動の高さも関係してくるが、覚えてないだけで、夢を通して守護と「打合せ」は誰もが、頻繁にしているのだ。霊感の有無など一切関係ない。心は魂であり、脳に号令をかけるのは魂である。人間は、魂の存在無くしては生きていけない。そして、魂は霊的存在である為、霊的世界と精通出来るのは、当たり前の事なのである。私はこれを「霊夢」と呼んでいる。

霊夢に入る瞬間が分かる。この瞬間得体のしれない高い波動を感じる。「畏れ」を手放せばいつだって、守護である龍が姿を現す。凄まじいエネルギー体である。霊夢の中で、風圧を感じ、魂が喜んで胸が張り裂けそうな程である。このエネルギーは「愛」そのものであった。年々、龍が増えていっている。最近、姿をみせた龍は、葉っぱの集合体の美しい緑をしていた為「緑龍」と命名した。高い波動を持つ霊には決まりごとがある「自ら名乗らない」自然霊で、ある為、そもそも「名前」など無い。守護と本人との愛称として「名」を人間側が、便宜上の為付けるのである。誰にでも、守護霊は存在する。特別な者だけが存在すると勘違いされては困る為、ここに明記する。また、低次な霊の憑依者や幻覚者は、話が飛び飛びで、一貫性と深みが無く矛盾している。またメッセージの意図の探求が出来ない。

(霊夢での出会い)

今からおよそ6年以上前の霊夢の事である。

霊夢の入口に、タヌキが案内人としていた。幼いころ、タヌキのぬいぐるみが好きだった事もあり、懐かしんで赤い小さな橋を渡った。

タヌキが振り返り「ここからが、黄泉の国なり。」と言って、ニコニコしていた。私は、もうすでに、とんでもないものが来ると感知していた。

その時、凄まじい地鳴りと共に、高速で回転しながら、大型バス程の大きさの金の柱が、井戸から飛び出してきた。この金の柱から、金粉の様な美しいものが舞い散っていた。もっと近くで見ると、うろこの様な宝石は、この世の輝きでは無かった。

「魂が震えるほどの美しさ」であった。

柱の正体をみる事に、畏れ多く感じ辞退することにしたが、この金のエナジーがいつの間にか七色に変わり、体中に注ぎ込み、リンクしているのが分かった。

その時なぜか「全ての苦難が報われた気がした」

(出会った場所は氷川神社に似ていた)

赤い橋へは、神社を経由して行ったのだが、九州には似ている神社が無かった。霊夢の中で可視化させているだけだから、神社はそんなに需要なメッセージでは、無いのかもしれないと思っていたが、そんなことは、なかった。この霊夢から数年後、武蔵一宮 氷川神社(埼玉県https://www.musashiichinomiya-hikawa.or.jp/

に出向いた時、小さな赤い橋と金の柱に出会った位置関係が、ピッタリと合う場所を見つけた。

赤い橋から渡ると井戸がある

上の画像は正に完璧な配置である。

この霊夢が、始まりの合図のように、私のスピリチュアルの扉が完全に開いたのだった。

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6.light☆story光の導きの引き合わせ

(note掲載:2020年9月4日 05:47:改訂版)

10代の自立)

18歳になると、県外に移住し、都市部でアパレル職に就いた。当時は「カリスマショップ店員」がモテはやされていた。そんな追い風もあって最新のファッションを楽しめる職場は10代の好奇心を満たしてくれるには充分な環境だった。2年を過ぎたころ、漠然とだが、別の場所で何かをやり残した感じが、どうしても拭えず、半年以上の葛藤の末、この職場を辞めることにした。「本当にやりたいことってなんだろう?」

新しい自分探しに出たような気分だったが、接客業はとても楽しい上に勉強にもなる為、転職しても同じ業種を選んだ。自分には、それしかできないと思っていたからだ。

20代に入ると、新しい自分探しと、同じ業種しか選べない自分の矛盾は、社会経験の少ない時期の一時的なものだったのだろうと解釈し直した。

そんな時、ふと思い出す。県外に移住する前に寄った、神社で誓った記憶が蘇った。あまりにも未熟な自分に嫌気がさし「多くの経験をして、乗り越える力を身に付けます。」そう誓ったのだったが、果たして私は、現在多くの事を学べているのだろうか?そんな疑問を振り払うように、もっと無我夢中に生きることにした。興味が刺激された新しい場所や人、境界線を作らず、どこにでも自ら飛び込んだ。危険を顧みることすらなかった私は多くの経験と稀な人脈に恵まれた。しかし多くを得ると人のやっかみや競争に合う事も増え、虚栄心を高める事で何とか自分を保っていた。初めて尊敬と好意を同時に持てた恋人にさえ、自分を素直に表現することも出来ず。また、理想像で固めた自分を緩めることも出来ないまま、彼から逃げ出した。それ程、自然体の自分に自信がなかったのである。しかし、受けていた愛情が想像以上だった事を後から知った。自己枠の身勝手な思考が生んだ結果は、心の大事な支えを失う事で幕を閉じた。この経験から以後、八年間は、何をやっても喪失感が癒える事などは無かった。毎日自分を、責め続ける地獄の中で生きていた。

(転機)
悪夢のように「あの時こうしていれば・・。」を何度も繰り返していた。そんな時、テレビから「乗り越えられない試練はやってこない」と聞こえた。頭の中に染み込ませるように何度も繰り返す。自分の中で何かが、晴れてきた。

「そうだ、何とか乗り越えられる。」

この、スピリチュアリストの言葉が無ければ、私は次元の低い思想のまま現世を終えていたのだろう。

(学びの引き合わせ)

スピリチュアリズムの学びと実践の始めは、多くの浄化現象が起きていた。元々自分に合わない人や環境がより合わなくなってくる。自分の気質にあった生き方にチェンジしていく過程で、責任感が芽生え、内在する未熟さが反映された、人間関係や出来事を通して、理解できるようになってくる。物質的な偏りが強いうちはスピリチュアリズムが厳しくも感じる事もあったが、「全ての真実はここにある。」という確信だけは変わることはなかった。そして、自分の未熟さに対しての不甲斐なさは日々強くなる。この時から、自分の足りない何かを探すように神社に出行くことが増えた。また、目的もないドライブをする度に、神社の入り口に引き合う事も多かったので、深く考えずに手を合わせて澄んだ空気を堪能していた。何も考えない無である。しばらくすると雑念が飛ぶ瞬間がやってくる。本殿に向かい深くお礼を伝えて、神社を出る。これを繰り返していると、更に様々な神社に出向きたくなった。好きなドライブと神社に癒されに行き、その土地の新鮮な食材のランチを食べ、帰り道に、その土地ならではの、温泉に巡りあうと、最上の幸福を感じた。

(宇佐神宮で引き合ったもの)

大分県宇佐市に鎮座する宇佐神宮(国指定重要文化財)の大鳥居が放つ朱色の美しさに溜息がでた。神聖な美しさに圧倒されながら本殿へと向かう。

境内は非常に広い。階段を上がる手前、横道に反れたその小道を、神主さんがクルクルと縦長の文を書きながら舞っていた。上が白で下が水色の袴、頭には長い黒の冠といった井出立ちであった。近視のせいもあってか、神主さんの姿がよく見えない。焦点を何とか合わせようとしても透き通って見えた。もう一度振り返ると忽然と姿が消えていた。神主さんの進行方向からすると、小道に対して、横にすり抜けて行ったため、非常に不自然な抜け方となる事と、姿が透き通って見えた事に、若干戸惑いを感じたが、そのまま本殿へと向かった。

本殿へ向かう途中にさっきとは違う神主さんに会ったが、今度は長い黒の冠をしていなかった。私の視線に会釈で返して下さり、ハッとした。先ほどの、神主さんはもしかしたら霊的存在だったのかもしれないと思ったが、霊的存在についての確かな知識が当時はなかった為、正しい解釈は出来なかった。この不思議に思った記憶はフワフワした感覚と共に10年以上立ってもしっかりと残っている。この後、(当時は本殿近くの急な階段を下った所に入室できる建物があった)神の歴史を絵巻と共に遡っていくと、自分の中で一つの仮説ができる。神は地球に生まれ生きたのでないか?地球最初の人間が人霊の神なのではないか?自分の中で何かが沸き上がるように感じた。あたりを見渡すと日が暮れ始めていた。帰り際、大鳥居を抜けて振り返るとそこには美しい彩雲が姿を現していた。あまりの美しさに、頬に涙がこぼれ落ちた。

乗り越えられない『試練』などやってこない。

真理は、魂が知っている。

光が導き合わせた真理と共に光の道へ歩み続ける

神が人に近づくのではない

人の努力なくして、神の愛を知ることなどない。

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5.light☆storyボヤけた世界

(note掲載2020年8月8日 07:56)※スピリット:霊魂

正義、善悪の区別もつかないボヤけた世界
自分だけの為 欲の為 堕落の為
自ら湧き上がる光に満ちた世界
世の為 人の為 自分の為

低いものは低いものと引き合い
高いものは高いものと引き合う

スピリットには必ず神我がある。
誰もが最終的には神と繋がっているからだ。
神我に目覚めた世界が真の幸福といえる。

(低次な霊的現象の始まり)
不思議な事、神や信仰、大好きだった「お宮さん」までもシャットアウトして、周囲の評価や平均値、損得勘定など、目先の利益追求に、染まった生き方を選んだある日の夜。
真夜中に限って、「祭りの音」がする。自室からいくら覗いても姿は見えない。それなのに音は大きくなるばかりで止みそうにもない。

確かめようと、音のする外へ出た途端ピタっと音が止んだ。それと同時に、外灯が届かない深い暗闇から数えきれない視線を感じた。

足が震えたが「寒さのせいだろう」と自室に戻る事にした。

それから、祭りの音は毎夜続いた。そして暗闇の視線が頭から離れなかった。

もう寝ようと思い。明かりを消してベッドに横になる。

耳鳴りと共に、空間の周波数が変わった感じがした。

しばらくすると、階段を誰かが上がってくる音だ。

何かがおかしい。

よく耳を澄ます。気付いてゾッとした。

両足で上がっていない、片足だ。

そして、片足で上がってくる音が、とっくに階段数を超えている。

「トントントントトトトトトトトン」この音が2時間は続いた。

気味悪かったが、無理にでも眠る事にした。

学校から帰ると、喉を潤すためキッチンへ行き水を飲んでいたら、2階で走り回る音がした。

走り回る音からして、5人以上の子どもだった。

お風呂場では、シャワーの音が常に聴こえていたが、誰も使用していない。

ある時は頭痛が伴う耳鳴りがし始め、悪寒が走り、ドブのような悪臭に吐き気がした。空間が陰気で重苦しくなると同時に、直ぐそばに誰かがいる気配がした。

夜寝ていると、突然体が、動かなくなり体が浮く感じがした。天井から刺すような目つきの女性が私を引っ張り上げていた。何とか、抵抗して朝を迎えた時にはグッタリしていた。

別の日は、何かに切り裂かれる痛みで目が覚めた。もちろん部屋に誰もいないが刀で切られた様な深い痛みだけが残った。どうしてでも、私を殺したいのだろうか?首を絞められる経験をした時は、恐怖よりも悲しくなった。そのうち、悪魔の様な獣が覆いかぶさってきたこともあった。

「なんで、私だけ。」

もう、思考する事も睡眠を取ることも出来なくなり、無意識に大量のお菓子をむさぼる事もあった。限界に来た時、何かが自分の中で湧きあがった。

「負けられない」

そう立ち上がった時、思考がクリアになり、様々な「戦う術」が頭をよぎった。根拠や知識など一切ないが、この術に全てを託す事にした。

最初に目に留まった、和室に祀ってある「破魔矢」を振りかざしながら念を込め始めた。

「去れ!」

言葉と破魔矢で切り裂く様に、一心不乱に家中を駆けまわった。
抵抗する様に、影がたくさん視えたが、構わなかった。

恐怖に打ち勝つほど思考がクリアになり、力がみなぎって来たのだ。

「負けてたまるか」

力を全て出し切り、全身全霊で払い除けていたら、空間が和らぐのが分かった。

そのうち全身の鳥肌も引き、今まで聞こえなかった鳥のさえずりが聞こえた。草花の匂いも漂ってきた。窓から陽の光が大きく射し込んできた時、何故か疑いもなく「終わった」と安堵した。

(低級霊は負の思考が大好物)

破魔矢は、邪気、魔を祓い。また、古代の人々は弓矢には悪霊を追い払う力があると信じていたという事を後で知る。祓う念は届いたようで不可解な現象は起きなくなった。

この日を境に、陰気なものとは真逆の行動と意思を持つよう心掛けた。

異様な空間と周波数を合わせなければ良いのではないかという発想からだった。この経験が後に、「霊的真理8原則:波長の法則」の理解を深める経験となった。

(善に歩みだす腹を決める)
一点集中で何がなんでも好転させる覚悟を決めた善のマインドが無意識に解決への行動、意思の選択をし始めるのである。波動が下がるという事は低次なものと共存していくチャンネルの世界なのだった。五感や喜怒哀楽を味わい尽くし課題や試練を乗り越える事でスピリットは磨かれる。

(守護の導きはいつもそばにある01~05まとめ)

守護は、魔術師ではない。自分の人生を創造するのは自分たちである。スピリチュアルで人の心が癒えるのは、たましいの存在を素直に受入れるからである。私たちは、霊的存在であり物質的存在なのだ。霊的部分であるたましいの存在を否定すると、自分・他者・動物・自然、命あるもの全てを「物」と認識する為、目に見えるものだけに存在価値の重点を置き「生命の物質化」の思考がパターン化した脳は「愛」など物的に存在しないものを脳が感知しない為、感応力が低下する。この結果、「愛」と「愛欲」の区別がつかない。

守護のエネルギーは「愛」そのものであるが、感応力が低下すると守護の導きを感知できなくなる。この状態は人から発するエネルギーの波動が下がった状態である。また、低い波動は低級霊の発する低い波動とチャンネルが繋がる。この様な場合も、常時守護は警告を発信しているのだ。低次なエネルギーを止めるには、負の思考を停止する必要がある。「無」になったこの一瞬で守護とプラグが繋がる事もある。

Light☆story02~03:この時の「無」は「思いやりの念」に感謝をすることで、思いやりに「生」で応える「利他愛の大切さ」への気づきである。

Light☆story04~05:低次な霊的現象による「波長の大切さ」への気づきである。波長を上げて、低次な心霊現象に2度と引き合わない様にと、霊的真理への学びが始まった。

守護は、私たちが神の規則に沿って生きる様に常時見守り、時に警告する役割なのである。守護とプラグを繋ぐかどうかは最終的には自分次第である。正しき霊媒(ミーディアム)たちはそれぞれの導きと共に霊界と信頼関係を築き人々に伝えていく。これからの時代は、「人と守護との正しい関わり」が「生きる要」となるのだ。

私の役割は守護と人が、プラグが繋がる様にサポートすること。

目覚めた人から「第二の世界」をはじめよう。

Light

4.light☆story摩訶不思議

(note掲載2020年8月1日 18:33 改訂版)

(黒板の裏側)

授業中、黒板に反射した太陽光が眩しくて、カーテンを閉める光景は、学校でよく見かける。だが、この日はカーテンを閉めても眩しかった。

光に気を取られていると、脳内のスクリーンに、天井から教室を見下ろしている映像がはっきり映った。その数秒後、何かに引っ張られるように、黒板の裏側に映像が移り変わる。
空想ごっこにしては、自分のもうひとつの体が浮いたような体感もリアリティがあった。


黒板の裏に同じ世界がある。

厳密に言うと、少し何かが違うが、何が違うかは分からなかった。
時間経過の感覚も鈍っているのが怖くなってきた時、誰かに呼ばれた気がして振り返ったら、映像が遮断された。

あたりを見渡すと、普通に皆、授業を受けていた。先生も何もなかった様に授業の締めに入っている。よそ見をしたら直ぐに注意する先生だったので何だか違和感が残った。

同じ場所でも、周波数が違う異空間が隣り合わせで存在している様に感じた。

何だかとんでもない宇宙の秘密に、気付いてしまったような感覚に戸惑いを隠せなかった。

思春期に入る頃、時折体験する「不思議」について、真剣に考えるようになった。年齢の低い子どもなら、不思議エピソードも無邪気な子どもの「空想ごっこ」だと片づけられ、誰も怪しく思わないが、思春期になると周りの反応はそうはいかない。この時代に「スピリチュアル」という言葉は普及しておらず、「死は不吉」「霊が視える」は怖い人、呪われた人という陰気なイメージが強く、不思議体験者は精神の病みからの幻覚者と根拠もなく一括りされていた。この背景もあり、偏見は将来の足枷になると考え。人から「不思議」と思われるもの目に見えないものは全てシャットアウトしようと心に決めた。

(思春期・日ごと増す摩訶不思議)

現実主義に生きる決意と、反比例するかのように、自分ではコントロールできない不思議現象は増えていった。解決の糸口が分からず、落ち込む事も多くなり、自分の存在が目立たない様に一日を無事に終える事だけに集中して誰とも深入りをしたくない気持ちでいっぱいだった。自分も周りもいつまでも無邪気な子どもでいられない。大人になる事は、利己的に生きる事だと思っていた。

「神様はなぜ助けてくれないの?」愚かな私は、自己憐憫の低い世界に陥っていった。

神と守護を正しく理解していないと、感情型の自己憐憫に陥る。また、打算的な動機から発生する思考は、心のシグナルを遮断し、損得勘定が判断基準となる。神や守護さえ都合の良い「魔法使い」扱いとする愚かさ。この後、「波長の法則」を体験から学ぶことになる。

次の記事「ボヤけた世界」に記す体験が無ければここまで、霊的真理を深く学ぼうとは思わなかったかも知れない。不可解に思う事は全て霊的真理が明らかにしてくれた。

現在の仕事を始める前、たましいの階層をガイドが見学させてくれた。低い階層では、気味の悪い歌声が響いていた。呟くようで恨めしい。か細い声。そして、纏わりつく様で寒気がした。エレベーターが止まり、扉を開けてみる。

人か化け物か認識できない白い人型のものが、悲しげに歌いながら何かをずっと待っていて、何かをずっと探していた。帰ろうとしたら走って追いかけてきた。

ここで、この階層の見学が終わり次は息を呑む美しい階層へ移動した。美しいメロディを心地よく聴きながら確信した。

霊的真理はたましいを裏切る事はない。

「頭ではなく、たましいが知っていることがあります。たましいの叡智が働き、危険を知らせてくる場合は、その声に素直に耳を傾けましょう。」

(自分に奇跡を起こす江原啓之100の言葉P97:災害支援チャリティ書籍:江原啓之 著)

3.light☆story底まで落ちたら上がるだけ

(note掲載2020年7月24日 18:32改訂版)

(足跡)

少女だった私は堕ちきった先は何も存在しない「無の境地」を知った。

人は道を失うと冷静でいられず嘆き狂ったようにさまよう。エネルギー尽きるまで感情を出し切ったら、前を見て歩くしかないと悟る。

そして、歩き出しながら、どこに向かっていけばよいのか分からず逃げ出したくなる。

だが、逃げ出す場所もない。なぜならそこには、「無の境地」だからだ。

目を閉じる。今度は心に問う。

人間は無力な生き物である事を悟る。

何かに頼らなければこの境地から脱出できないからだ。

道具や、人には頼れない。

もう一度目を閉じる。

どこからか、声が聴こえてくるが直ぐに消える。また少し聞こえるが直ぐに消える。

心を無にして声に全身全霊かけて集中する。

聴こえた「前を見て上を向いて真っすぐ歩みなさい。」

どれだけ待ちわびたろうか、ようやく聴けた歩くべき方角に、感謝の涙が止まらない。

何度も何度も、姿のない声に感謝をする。心が晴れたと同時に一寸先に光が見える。

もう足が先に駆けだしてしまっている。息が切れても感謝と歓びが止まらない。

あと少し。もう少し。光がどんどん大きくなる。

ふっと歩んだ道を振り返る。

最初は、彷徨よったランダムな足跡。立ち止まった足跡。歩み始めた足跡。信じて歩み出した足跡。駆けだした感謝の足跡。

今度は、ハッキリ聴こえた。

「これがあなたの軌跡」

上を見上げたら、そこには神がいた。

魂が泣き、魂が震えた。

神は地に居らず天にいる。

下を向く人生か上を向く人生かは自分の歩み次第なのだ。

神の愛を体感した時、目の前の光が自分を包み光の向こうから声が聴こえる。

恐れなど無い。光の中に入ってみる。

懐かしい顔がたくさんいる。ようやく辿り着いたと安堵した。

よく見ると、懐かしい顔は全て自分の顔だった。

(底からの脱皮は計画的に)

「どのように生き直すか?」を数日模索したが、どれも自分を奮い立たせるほどの「ワード」は見つからなかった。頭を整理しにふらっと一人で、いつもの神社へ行く。その小さな神社を「お宮さん」と呼んでいた。境内の植物や陽の光が心地よい。いつの間にか遊びに夢中になっていた。境内の隅から、1匹の猫が現れ、社殿の下からずっとこちらを見ていた。猫と同じ目の高さまで頭を横にして、遊ぼうとしたがじっとこちらを見据えて動いてくれなかった。どれだけ時間が経ったか分からないが、あたりも暗くなり始めたので帰る事にした。「猫ちゃんバイバイ」そういって、鳥居を出て振り返ると、猫はすっかりどこかへ消えていた。

大好きな猫にも会えたし「神様ありがとう。明日はもっといい日になります様に。」

そのまま、深い眠りに落ちた。

翌朝、通学途中に見慣れたはずの花、空、太陽がなぜかより美しく感じた。それだけではない。人の幸せそうな顔、優しい顔、が妙に目に留まるのだった。

いつもの世界のようで、180℃違う世界。
この日は優しさに包まれたような世界に感じたのだ。

その日の夜、ずっとボーっとしていた。どれくらい時間が経ったか分からない。時計をみても時間が頭に入らない。

自分を苦しめるだけの世界に今までどれだけ、エネルギーを奪われて来ただろうか?外の世界はこんなにも希望に満ちている。当時少女だった私は、心の闇から、一人では到底乗り越える事は出来なかった。これは、たくさんの人の小さな優しさの集結が、一つの思いやりとなり、少女だった私は光へ導かれたのである。また、小さな優しさに感謝する事は自分を救う灯となることを、神は教えてくださったのだ。

自己愛的世界から得られる幸福感は極めて低く、利他愛的世界から得られる幸福感の広がりに無限を感じた。現在のカウンセリング業務の基盤はここから始まったのかもしれない。

(自己愛と利他愛)

人は、生まれた落ちた環境で自己愛が満たされ、成長と共に利他愛に目覚めていき、成人したころは、第二の本能「貢献脳」が発達してくるのだ。しかし現代は自己愛的世界観の人が多い。自然界の恩恵を感じない食と無機質な環境がもたらした結果である。日本の信仰である神道では、「自然には神が宿る」とされ「ご飯を粗末にするとバチがあたる。」という教えの風習が一般家庭で多くみられた。特に「米」に関しては最高神である天照大御神の一説が残っている。「人々が食べて生きていくもの」として、天照大御神が邇邇芸命(ニニギノミコト)に手渡したのだ。特別な米だけではなく、信仰心のあった日本人たちは、全ての食は、天候や土地の条件が整ってこそ「豊作」となり「天神地祇」(天の神と地の神)の恩恵を賜る奇跡に深く感謝したのだ。

天が荒れれば、天の神に赦しを求め、地が枯れれば行いを振り返り、地の神を崇める。

神の領域と人間の領域に過信することなく、天と地の厳しさから信仰心を学ぶ。神と共存した生き方は、他者の中に「菩薩」をみる。この菩薩は菩薩同志が共鳴し合い。善良な人間で在ろうと謙虚に努める。この姿が幼子の教養となり「助け合う」意味を知る。みんなが手を取り合いながら、神の威厳に敬意を表して暮らしていたのが我々、日本国民の祖先である。現代の我々は、誇り高き祖先の教えを受け継げているだろうか?

戦後、日本国民は多くを失った。戦後の異国の文化は生活様式を変えた「物質の豊かさ」が世の人々の生きる目標となったのだ。物質の豊かさを追うほど、心の豊かさは失われていく。だが、戦後生きるには、何不利構わない姿勢が必要だった。戦争の心理被害はここから先の戦後に、闇が深くなっていく。物質の豊かさには、成功、競争、権力、支配力が必要であった。成果主義時代の始まりである。1954年には日本の高度成長期を迎える「Japanese miracle:東洋の奇跡」と異国で持てはやされる事となる。この裏側には、急速な発展による痛ましい代償があった。環境破壊により人も海も犠牲となる。「水俣病」「イタイイタイ病」「四日市ぜんそく」「第二水俣病」の公害病。大量生産による「ごみ問題」による大問題を、目の当たりにしても、多くの人は物質の「豊かさこそが幸福の象徴だ」という思想を改めなった。戦後1年の1946年 日本窒素肥料がアセトアルデヒド、酢酸工場の排水を無処理で水俣湾へ排出。公式発表は1956年これにより水俣病がようやく国民に認識されるのだが、公害対策基本法(1993年環境基本法施行の為に統合)が公布、施行されたのは1967年である。被害者と遺族の心情を思うと、実に遺憾である。戦後直後の日本は、孤児が溢れかえっていた。

成長期に必要な、「自己愛の満たし」を誰がするのか?皆生きる事で精一杯だった。

1945年厚生省は戦災孤児等保護対策要網を発表した。(1.個人家庭への保護委託2.養子縁組の斡旋3.集団保護の対策)しかし、実際は、同じ境遇の子どもで徒党を組んで生活した。また、窃盗、反社の下働きをする者も珍しくなかった時代背景がある。幼少期に自己愛が満たされないままだと心が、成熟しきれず自己愛から抜け出せない。そのまま成人すると、物質に偏った思考になりがちである。「今だけ、金だけ、自分だけ」(農業経済学者:鈴木氏)の愛念の通わない思想である。だが、人間の脳は未知数であり多くの可能性を秘めている。

自分の自己愛欲求の思考癖を知り、日常生活に利他愛の小さな実践を繰り返す事で、思考の尺度は広がる。自己愛欲求を認め受け入れ事で満たされなかった自分を癒し手放す事が出来る。命ある限り人は何度も生き直す事が出来る。因果応報で利他愛は自分も人から愛され

る唯一の方法なのである。小さな優しさの集結が一つの思いやりとなり、少女だった頃の私は救われた。どんな背景だって、運命の法則により変える事が出来る。また、自然霊界からは、これから先の世界に起こる厳しいメッセージと共に、心の在り方を正すまで自然界の浄化は止まらない。菩薩が共鳴しあう慈愛に満ちた信仰心に立ち還る時が来たのだ。

「大きなことをする必要はありません。小さなことに大きな愛を込めればいいのです。」

(マザー・テレサ)
「わたしがこれらのことを話したのは、わたしの喜びがあなたたちとあり、あなたたちの心が喜びに満たされるためである。」(ヨハネ15・11)

「私の幸せは他者の笑顔の中にある」

底まで落ちたら上がるだけ

闇からみえる光に這い上がるには

相互の「愛」が必要なのである。

   light

2.light☆story人間の裏の顔

(note掲載2020年7月17日 16:05 :改訂版))

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(悪に飼いならされた少女)

生まれてきた事に何の意味があるのか?

私を見る目がなぜこんなに冷酷なのか。

猫が好きで道端にいる猫を触ると「この魔女が!」と罵られた。

約束の時間に5分遅れると何度も何度も痛い思いをした。

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お腹がすくと「卑しい」と怒られた。

謝罪と好きの詰まった手紙は直ぐにゴミ箱に捨てられた。

笑うと「気持ち悪い」と言われた。

悪い事が起きると全て私が悪いと言われた。

お友達に好かれると「媚びを売る卑しい子」だと言われた。

周りの大人がかばってくれると「卑しくて嘘つきで悪い子」だと言われた。

みんなが私を褒めた後、みんながいなくなると、痛みに耐える時間がくる。

耐えれそうに無い時に、浴びせられた魔法の言葉は「全ておまえの妄想。」だった。

ある時、お友達が私をみて泣いた。

たくさん泣いていた。

私は幸せだと思った。

でも、お友達を悲しませるのは嫌だと思った。

「魔法使いが現れたみたいに、もう大丈夫になったよ。」

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お友達は、花の様に笑った。

もっと幸せだと思った。

寝る時は、いつも涙が溢れてきた。

もう全てが壊れそうだった。

そんな時は、メリーゴーランドが目の前に現れてくれた。

誰も乗ってない、私だけのメリーゴーランドは泣き止むまで、優しい光を纏いながら、周り続けてくれていた。そのまま、眠りについて美しい夢を見た。白くてフワフワして優しい光を放つ空の様な世界で、空の住民たちはみんな優しくて、どういう訳か、無条件で愛してくれた。私は、嬉しくて、嬉しくて、ずっと笑っていた。

空の世界は死後の世界なのかもしれない。

それでも、何度も繰り返される、苦しみと苦痛から逃れる為には「空の世界に行くしかない。」

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そう本気で考える様になった。

だって、あんなに幸せな世界なのだもの。

そして、実行の日まで、優しくしてくれた人達に「ありがとう」を何度も伝えた。

実行の日、スムーズに一人の時間が出来た。

後もう少しだ・・。その時、何かが自分の中で弾けて泣き崩れた。

陽だまりの光が、うずくまって泣き叫ぶ私を、いつまでも慈悲深く包み込んでいてくれた。

少女だった私を救ったのは、たくさんの人からの「思いやりの念」と守護の慈愛だった。魂の修行が困難を極めた幼い子どもには、時折、霊的世界から、わかりやすい形で励ましのエールが贈られる。私はメリーゴーランド(励ます想念の可視化)と空の世界(守護の計らい)だった。

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大人になっても魔法の言葉は消えなかった。

悪魔は、何をしても染まらない私が、疎ましくてしょうがなったのだ。だが、大人になっても心の闇と代償にしても私は、悪魔から愛されたかった。だから、悪魔の魔法はいつしか私にとっても、都合が良いものとなってしまった。

しかし、初めてお腹の中に愛おしい鼓動を感じた時からこの魔法は解かれていく。

産まれたての小さな手と、ひまわりの様な笑顔が「本当の愛」を教えてくれたのだ。

本当に天使だと思った。

天使の幾度目かの誕生日の時、ひっそりと身を潜めていた悪魔が、我々の前に現れた。悪魔は天使の笑顔を奪う事に専念していて何度も睨みつけていた。天使は、目をそらす事しかできずに、悪意に満ちた目にずっと耐えていた。この時の表情は、少女の頃の私そのものだった。「同じ事を繰り返してはならない。」その瞬間に私の「悪魔の魔法」は解かれた。

「私は全て記憶している。妄想者はお前の方だ!恥を知れ!」と言い放ち、悪魔が悪言を閉ざすまで、毅然とした態度で打ち返し続けた。「ママありがとう。」涙を滲ますひまわりの笑顔を力いっぱい抱きしめた。そして、神は「愛」を信念とする者に「幸福」を与えて下さるものだと確信した。

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(善と悪)

世の中に善と悪が浮遊してオカルト的に存在しているのではない。人の中の善と悪の思考が世に反映しているのだ。浮遊しているのならば世の形成は人間の思考が根源である事実が置き去りであるからだ。現実に戦争、虐待、虐め、環境破壊は、人間が引き起こした「悪辣な思考部分」である。この悪浮遊思想からすると、悪神からの被害にあった不運な一部だけの人間の末路というSF的な見解となるのだ。悪神は闇兵器創造の魔法使いという事にも成りえる。被害者を他人事と捉えて、終わってしまってはいけない。同じ人間として出来る事があるはずだ。一人でも多く、良心に従い、勇気を持って利他愛に芽吹いた時、世界は変わるのではないだろうか?

(闇世界の仕組み)

「悪」を増幅させるのは「負の思考による選択と行動」この人口率が上がる程、世の闇は深くなる。自然災害を「悪」と捉えているなら。不正解だ。何故なら、「自然界からの浄化」は「負の思考の浄化」だからだ。つまり「悪」が引き寄せた「災害」という事になる。また被災者を「他人事」と捉えている事も類魂の法則(神の規則)に反した「負の思考」となるのだ。

(悪からの学び)

さて、他者の思考の中に存在する「悪」をみてあなたはどうするか?戦うか、染まるか、手放すか?戦うなら、毅然とした態度と不動心で、内なる悪も含め全ての邪念、悪念に打ち勝たなければならない。また、言霊には、叡智が宿っていなければならない。

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染まる思考は神に反する事、生きても死んでも魂に真の幸福は訪れない。

手放す時は、「人を裁く権利は、人には非ず。」因果の法則は神の領域である真理に感謝する。

(神の歓びは魂の向上)

「あなたがたは世の光である。」(イエス☩マタイによる福音書5章4節)

個人の光が増せば世も光を増す。光るには、闇と向き合い手放さなければならない。悪は内なる闇と向き合う事を許さないだろう。

あなたたちの中で罪を犯したことのない者が、まず、この女に石を投げなさい。」(イエス☩ヨハネによる福音書8章7節)

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人は誰もが罪人である。人の中には神も悪も混在する。

だから神と共に生き抜くのだ。  light

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1.light☆storyどんな子だったか?


2020年7月14日 08:11note掲載 改訂版

(魂の記憶)

胎内記憶、生前記憶、乳児の記憶を、人間は稀に覚えていることがある。生命の神秘はまだ解明されていない部分もあり、脳の神経回路網と宇宙網は似ている事に着目した、天体物理学者と脳神経外科医が『脳と宇宙』について研究チームを組んだほどだ。また、国内外問わず多くの各専門家たちが本を出版している。続いて『遺伝子と脳』の関連性も生命の誕生には欠かせない要素となる。スピリチュアル的な見解では、生命誕生は、肉体に魂が宿った状態であり、人間はスピリチュアルな生き物である為、第六感は誰もが備わっている能力の一部なのである。人生形成の基盤である体、脳、遺伝子等、生まれた直後に人智では変えようのない環境などの基盤を活用しながら、試行錯誤を繰り返し「人生の城」を形成していく。

この過程でスピリチュアルな存在達とプラグが繋がる事で、物質的存在と霊的存在を含めたエナジーが自分の「魂」なのだという事を知る。不可能とされる魂の記憶を持つ者たちは、何のために存在するのか?体験談「light☆story」と織り交ぜながら、説明していきたい。

(封印されていた記憶)

思考、記憶、理解、情操の表現を司る前頭前野は4、5ヵ月から二十歳程度かけて発達し続けるはずなのだが、乳幼児期の事を何故か覚えている。

大人の会話に割って入ったら、喃語しか使えて無い事実に、神の意図を感じまた、現世で生きる掟を汲み取った。お昼寝の際、天井いっぱいに人が居て、時折あやしてくれた時は実に嬉しかった。「あやす作業」によって、「楽しい気持ち」になるという人間の感情「喜怒哀楽」を学んでいるのだと理解していた。時折聴こえてくる日常会話を理解している事も、隠さなくてはいけない義務感など霊的世界と物質的世界を行ったり来たりしている感覚である。また、目がぼんやりしている時は、人間の匂いで、誰だか判別していたが、一度に多くの存在の判別は難しかった。味覚に関しては、甘味と匂いが食への判別基準だった。乳児用の麦茶の甘味が無い事に不服だった。「硬さ」では食の判別が出来ず、今考察すると、おもちゃを口に入れていた、乳児によくみられる時期だったのではないかと思う。離乳食の固形物が喉に入ってくる感触も最悪だったが、物質的世界の肉体に慣れる事に専念していた。

自分の拳を見つめ「なぜ?ずっと拳を握っているのだろう。と不思議に思い、開けようとするが上手くいかなかった。

また、なぜか不安に感じた。人体の発達にはあらがえない順番があるのだと理解した。天井から光と共に何かに手招きされると同時に場面が変わり。空の上の様な霊的世界で過ごした記憶もミックスされて残っている。霊的世界でのミーティングは、肉体と地球に慣れたかどうか、現世での目的と役割の確認など詳細に報告と指導を受けた。

私は最初、物質的世界の音と匂いだけでなく、食す事が苦痛だと、霊的指導者に不服を申し立てていたが、霊的世界から独り立ちするには、受け入れるしかなかった。指導者はいつでも冷静で的確だった。周囲の霊的存在達は、何とも言えないせつない表情で心配そうに私を毎度、物質的世界へ送り出していた。

ある時、指導者から「これが最後」と独り立ちを宣言された時を境目に、この乳幼児期の記憶と霊的世界の記憶は、スピリットが覚醒する38歳まで思い出される事はなかった。ここからが、私にとって苦行の始まりである。霊的世界の記憶を失っても、魂に刻まれた記憶の感覚は消えなかった為、学童期までは特に無意識に多くを否定していた。「本当の家族はこんな事言わない。」「本当の愛ならこんなことしない」「本当の・・・。」「本当・・・・。」無意識に求める「本当の世界」は一体何なのだろう?他者からみて、明朗快活である私から、想像つかない程の深い葛藤を抱えて生きていた。そんな時、こんな夢を見た。天界(霊的世界)から星となり地球に向かう道中、魂の仲間(類魂)と互いの健闘を祈り合いながら二手に分かれた夢である。「もしかしたら、同じ気持ちの人がこの地球上にいるのかも知れない。」そう解釈すると、いつも少しだけ元気になれたのだった。

(魂の記憶と脳の記憶の保存場所)

『脳の記憶』と『魂の記憶』の記憶保存場所は違うという事を説明しておきたい。現実世界と霊的世界の境目を理解した上で、第六感を受入れ、冷静な分析と探究心を持って、霊的真理(神の定める規則)を理解し日常へ実践する事で、ようやく正しく咀嚼できる。この道理から、神の規則に反した動機と現実世界にリンク出来てないスピリチュアルは神の意図するスピリチュアルでは無いという事になる。

(魂は永遠に生きる)

現世で役目を終えた魂が霊的世界へ帰り、物質的世界で染みついた物資への執着などを手放しきって、守護や、魂の家族がいる階層(霊界)へと上昇する。更に魂を向上させる為に物資的世界での内なる闇のあぶり出しが必要となる。そして守護、類魂と溶け込んで、神のエナジーと一体となるまで、魂の向上に必要な部分再生は繰り返される。この理により、ネガティブな闇が存在するのは物質的世界だけという事である。ここでよく聞かれる質問がある「地球の悪人は、死んだらどうなるのか?」魂帰還階層は一寸の狂いもなく神の意志により差別化されており、悪人は悪人の階層へ、善人は善人の階層へ。そして善悪の保持率により更に細分化されて、寿命を終えた魂は、物質的世界から霊的世界へ移行される。各階層の行き来は、各々の守護の指針により判断される。要するに、霊的世界では同等の悪をみて「悪」と認識できないのは「魂」に表も裏もないからなのである。物質的世界の人間には表も裏もある。なぜなら「闇」をあぶり出す修行場だからだ。

(前世)

現世で視える前世とは、魂の闇を手放す為のカリキュラムの一部なのである。「前世が視える」とはカリキュラムの一部を透視した事に過ぎない。通常生きていて、前世を知ることはないが、何らかの形で前世を知ることになったのだったら、今世で生きるカリキュラムの一部を乗り越えるためのヒントを守護からのメッセージを預かったという事なのだ。要するに「視えた」だけで終わってはいけない。現世で活かすために神の規則に沿った分析が必要なのだ。

(神に仕える者は皆等しい)

本来のスピリチュアルは実にシンプルでいて奥が深い。霊的真理を深めていくほど我欲という愚かさにどれだけでも向き合う事になる。そこから逃げ出す者、踏ん張る者、逆恨みする者、利他愛に芽吹き霊的真理の実践を拡げ続けていく者。スピリチュアルに開花した者の役目は、神の規則に沿って歩き、神の真理を伝える事以外無いのではないだろうか?生きる者は全て等しく『知る権利』があるのだが、真理を真理のまま魂の一部として受け入れるか、真理を思想の一部として受け入れるかで、光と闇に分かれていくのだ。

「種を蒔く人は、神の種を蒔く」イエス:マルコによる福音書4章14節

土の肥料は善の思考である。light

☞次回 No.2「人間の裏の顔」

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